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ブランド作りに欠かせない、ストーリーテリングのための6つのヒント(前編)

※この記事はhttps://ampjar.com/blog/tips-storytelling-in-business/を引用・翻訳したものです。

ストーリーテリングは人々の心を動かし、あなたのブランドを目立たせるユニークな力があります。

現在のように起業がしやすい世の中では、企業が注目を集めるために、ストーリーテリングが今まで以上に重要になるでしょう。

この記事の前編では、ストーリーテリングの心理的影響と重要性を紹介します。そして、後編では、その日から使うことができるストーリーテリングを用いるうえでの6つのヒントを紹介します。

重要性を話す前に、アメリカの有名な歌手であるマヤ・アンジェロウの名言を紹介しましょう。

At the end of the day people won’t remember what you said or did, they will remember how you made them feel.

“一日の終わりに、人々はあなたが何を言ったか、何をしたかを覚えているのではなく、あなたがどのように彼らを感じさせたかを覚えているでしょう。”

 

実際に、人々に感じさせる、つまりは効果的に印象付ける方法はあるのでしょうか

ストリーテリングが私たちの心理に与える影響

アメリカの神経経済学者であるPaul J.Zakは、人々の意思決定についてより詳しく理解するために、様々な分野の研究者を集めて神経経済学研究センター(CNS)を設立しました。

過去10年間、CNSは「ストーリーはなぜ私たちを感動させるのか、私たちの態度や意見、行動を変えるのか、そして私たちを元気づけるのか」を研究することに焦点を当ててきました。
それらの研究の多くは、神経化学物質であるオキシトシンに注目しています。オキシトシンは、私たちの共感の感覚、つまり他人の感情を経験する能力を高め、思いやりの気持ちを高める働きがあります。

とある実験で、参加者に親近感が湧くキャラクターが主役のビデオを見せたところ、脳はオキシトシンを生成しました。つまり、脳で合成されるオキシトシンの量は、人々がどれだけ思いやりをもっているかを予測するための重要な判断材料となるのです。

人間の脳が物語を好むのは、人間が社会的な生き物だからです。物語は私たちの社会生活に欠かせないものであり、重要な情報や価値観をある個人やコミュニティから他人に伝えるための効果的な方法なのです。Zakは、より個人的で感情的に説得力のあるストーリーは、ただ事実を伝えるよりも脳を活性化させ、記憶に残りやすいと強調しています。

では、何が効果的なストーリーを作るのでしょうか?
Zakは、最高のストーリーは継続的に緊張感を高めることを促し、聞き手の注意を引き付け続けると主張しています。人々は一度集中すると、感情というエネルギーを物語に注ぎ込むようになるのです。やがて、私たちは物語の登場人物たちに感情移入するようになります。これを物語学者たちは、私たちが登場人物たちの世界に連れて行かれることになぞらえて「Transportation 輸送」と呼んでいます。

なぜビジネスにストーリーテリングが必要なのか?

もちろん、このシンプルな心理学的事実は、ビジネスにも応用できます。
物語は、顧客とつながり、好奇心をかき立て、あなたのブランドをより記憶に残るものにするための素晴らしい手段です。物語を語ることで、あなたは聞き手に新しい視点を提供することができます。そして、あなたのアイデアに文脈を与えることで、どのような企業像なのかをより上手く伝えることができます。それはあなたのブランドをより人間的な存在に変え、消費者にとっても親近感が湧くでしょう。

ターゲット層の注目を集めるのは簡単なことではありません。しかし、ビジネス的なストーリーテリングの技術をマスターすれば、人々は企業に対して感情的なつながりを感じる可能性が高くなります。そして、人々はあなたの製品やサービスについてもっと知りたいと行動を起こすようになるでしょう。また、優れたストーリーは、長期的に顧客の興味を引きつけるのにも役立ちます。

ここで一つストーリーテリングが大きな影響を与えたブランドを紹介しましょう。
アメリカで創業し、現在50カ国以上に展開しているキャンドルメーカーのYankee Candle Companyです。
1969年、16歳のMichael Kittredgeは、母親にクリスマスプレゼントを買うお金がなかったため、缶詰のロウ、赤いクレヨン、料理用のひも、牛乳パックを使って香りのついたキャンドルを作ることにしました。すると、近所の人がそのキャンドルを見て購入してくれたので、そこで得たお金をもとに、さらに2つのキャンドルを作りました。それをきっかけとして、彼は実家のキッチンでキャンドルのデザインと手作りを始めたのです。やがて、父親の助けを借りて小さな小売店をオープンしました。これが、今では毎年10億近くの収益を上げ、500以上の小売店を持つ、最大手の香り付きキャンドルの製造・販売会社の1つの地味な始まりでした。

 

おわりに

ここまで見てきたように、ストーリーは科学的に人々の共感する感覚に影響を及ぼすことが分かっています。そのため、顧客の印象に残る、長く愛されるブランドを作っていく上で、ストーリーテリングは欠かせないでしょう。そんなストーリーテリングは、様々な文脈で簡単に用いることができます。例えばSNSやブログ、企業のwebページなど現在の社会にはたくさんの消費者との接点があるでしょう。後編では、そんなストーリーテリングを用いる上での6つのヒントを紹介していきます。