ブランディング

【例文あり】ブランドプロミスとは?企業理念やキャッチコピーとの違いについて

ブランディングに関する言葉はたくさんあります。関連するワードも多く、何を意味するか混乱を招くことも多く見られます。その中でも、今回は「ブランドプロミス」についてご紹介いたします。
ブランドプロミスと意味と活用方法、そして似たような意味を持つ企業理念やキャッチコピーとの違いについて詳しくご説明できれば幸いです。

Contents

ブランドの約束である、ブランドプロミスとは?

ブランドプロミスとは、約束といった意味であるプロミス(promise)という言葉から、ブランドが顧客に対して約束する品質や機能、価値のことを指します。
要するに、「顧客との約束」を表したものです。ブランドプロミスを考えて、顧客からどのようなブランドに思われたいかを考えて決め、そして実行する必要があるのです。

その名の通り、顧客との約束を意味するため、確実に保証しなければなりません。自社の特長でない部分でブランドプロミスを設定すると、逆に顧客の信頼を損なう恐れもあります。設定する際には、細心の注意をはらい、企業として達成できるブランドプロミスを立てることが重要です。

明確にブランドプロミスを掲げることができる企業は、強い信念がある事の現れでもあります。顧客に明確にブランドプロミスを伝えることによって、顧客にとって何をしてくれるブランドかわかりやすく伝えることができます。
また、ブランドプロミスを手がかりにすることにより、ブレることがない業務遂行や改善・アイデア出しなど、事業そのものが明確化します。
従って正しくブランドプロミスを立てることによって、企業のブランド成長を大幅に進めることができます。

ブランドプロミスと、企業理念やキャッチコピーとの違い

次に、よく似た概念である企業理念やキャッチコピーとの違いについてご紹介します。

ブランドプロミスと企業理念の違い

企業理念は”企業自体があるべき姿を明確化した”ものです。そのため、より広い概念を指し、影響範囲は社内外全てとなります。各ステークホルダーに対して伝える必要もあり、より固い表現になりがちです。
また、企業理念を浸透させる対象は、顧客よりも従業員を軸としている場合が比較的多いです。
一方で、主に顧客との約束を示すブランドプロミスの方が、より狭い概念で詳細に設定します。

また、企業理念は企業の下に設定しますが、ブランドプロミスはブランド毎に設定します。すなわち、複数事業を展開し、ブランド複数抱えていた場合は、それぞれに対してブランドプロミスが存在しうると言うことです。
ですので、ブランドプロミスの方が、各ブランドから踏み込んだ内容になります。

ブランドプロミスとキャッチコピーの違い

キャッチコピーは、ブランドや商品を紹介するための宣伝文句です。認知に直結するため、キャッチコピーが良ければより商品やサービスを記憶に留めることができるのが特長です。
役割としては、認知の部分に大きく影響するため、より耳に残るための鋭さが求められます。

一方、ブランドプロミスはブランドの目指すべき方向性を、顧客との約束ということで表すため、キャッチコピーなどのわかりやすい言葉だけでなく、一歩踏み込んだ内容を表しています。そのため、比較的文字数も多いのも特長です。

また、キャッチコピーはトレンドや商品コンセプト、その時々のブランドの課題に合わせて比較的頻繁に変更します。ですので、年月を重ね、長期記憶に作用させると言うよりは、小回りを利かせながら利用することが多い傾向にあります。
一方、ブランドプロセスが変更になるということは、そのブランドの約束を変更するということなので、大きなリブランディングが行われる時などでないと変更することはありません。

「ブランドは誰のもの?ブランドの価値観が変化する背景」はこちら

ブランドプロミスが必要な理由

ブランドプロミスが必要な理由としては、ブランドの競合他社との差別化が大きな理由として挙げられます。

特に、同業他社とのポジショニングを明確にするためには、顧客に対してブランドの約束を明確に示すことはより重要になります。また、強力なブランドプロミスを掲げる企業は、属している従業員も約束を果たすために業務に取り組むため、インナーブランディングにも影響を与えることができます。

国内外問わず様々なブランドがある中で、自社のブランドを成長させるためには、まずブランドプロミスを明確にすることが必要です。ブランドプロミスで一貫性のあるブランドを目指しましょう。

「ブランディングと差別化戦略のメリットとは?差別化戦略で必要な視点」はこちら

企業ブランドプロミスの例文

ここでは、いくつかの企業のブランドプロミスを紹介します。

ブランドプロミスの例文 -花王-

「私たちの使命 美しさの先に、笑顔を。私たちは、より美しく、より心豊かに、お客様の生活の質を高め、一人ひとりの幸福な人生と笑顔溢れる社会の実現に貢献します。」

花王はホームページ上に、ブランドプロミスだけでなくビジョンなども掲載されており、どのような目的を持って活動をしているのかが明確となっています。

 

ブランドプロミスの例文 -パナソニック-

 

 

私たちPanasonicは、より良いくらしを創造し、世界中の人々のしあわせと、社会の発展、そして地球の未来に貢献しつづけることをお約束します。

パナソニックは、経営理念である「綱領」をより現代の人々にもわかりやすく表現し直し、お客様と企業のパートナーシップをブランドプロミスとして設定しています。

 

ブランドプロミスの例文 -TBS-

私たちは、さまざまなフィールドで心揺さぶる時を届け、社会を動かす起点を目指します。
最高の“時”で、明日の世界をつくる。

TBSは、2020年1月に新たに企業理念とブランドプロミスを設定しました。メディア環境が大きく変化する新たな時代における役割を示しています。また、「最高の“時”で、明日の世界をつくる。」というタグラインもブランドプロミスに含んだ形になっています。

 

ブランドプロミスの例文 -マクドナルド-

おいしさと笑顔 快適なひとときを すべてのお客様に

少しタグラインに近い表現ですが、おいしさと笑顔という部分が特長的です。店頭でスマイル0円で表記していることも、ブランドプロミスを体現していると言えるでしょう。

 

ブランドプロミスの例文 -東京2020オリンピック-

Innovation from Harmony

東京2020オリンピックは、東京と日本がもつ先進性と伝統が融合し、調和し、 新たなイノベーションが生まれる場。人々は歓喜に包まれ、 「 調和からイノベーションが生まれる」という概念は、 この大会を通じて世界中に伝わり広がっていく。 東京2020オリンピックは、 スポーツの力によって調和を促し、多様なイノベーションを実現させる大会となる。

東京オリンピックにもブランドプロミスが設定されています。東京や日本が持つ特長を競技者や視聴者に明確に伝えるためには、ブランドプロミスは有効な手段です。

 

ブランドプロミスのまとめ

ブランドが顧客に対して約束する品質や価値を、ブランドプロミスで表すことができます。

効果的に用いることによって、企業にとってブランドを成長させるための大きな指針となります。一方で言葉の意味がわからず、ただ設定しただけになってしまうと、余計混乱する指針が増えてしまい、逆効果になる恐れもあります。

ブランドプロミスはキャッチコピーや企業理念と混同してしまいがちな言葉ですが、それぞれの意味をしっかりと理解して、正しく活用することにより、強いブランドを目指していきましょう。