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良い商品パッケージとは?商品パッケージの役割とブランディングについて

みなさんは普段、商品を購入する際に何を見て判断しますか?商品の顔となる「商品パッケージ」に注目する方も多いのではないでしょうか?商品パッケージのデザインは、写真やイラスト、文字などが入り多種多様です。どのような商品パッケージが、果たして「良い商品パッケージ」なのでしょうか。今回の記事では、商品パッケージが求められる役割から、商品パッケージの好事例を紹介します。

Contents

商品パッケージの歴史

まずは、商品パッケージの歴史について学びましょう。パッケージの役割である包装するという点で考えると、人類が自給自足を送っていた時代から、パッケージは使われていました。そのころは、調達した食料を保存、持ち運ぶために身近な自然の素材を利用したパッケージが使われていました。自然の素材は、木の皮・竹・わら・かご・木箱などで時代が進むにつれて、紙・ガラス・紙・金属といった現在のようなパッケージになったのです。

昭和、高度経済成長期に入ると、「大量生産・大量消費」の時代へと生活スタイルが一変。それ以前は、買い物は商店街や個人商店へと行き、店頭で袋や持参した器に商品を入れてもらうためにパッケージはあまり必要とされていませんでした。しかし、スーパーマーケットやコンビニエンスストアが登場したことで、様々な商品が包装され、パッケージの需要が大きくなりました。
プラスチック素材がパッケージの材料として利用されるようになったのもこの頃です。耐熱性に優れたパッケージが開発されたことで商品パッケージの幅が広がりました。
一方で、プラスチック素材が大量生産されるようになったために環境汚染の問題が発生しました。そこで、国は「適正包装の7原則」を設け、品質保全に努めるよう、規制を厳しくしました。現在は、包装技術も進化し、環境に配慮したパッケージをつくるだけでなく、より商品を良く見せるようなパッケージデザインへとこだわりが強まってきました。

 

商品パッケージの役割

先ほど紹介したように、時代の変化とともに、店頭で店員さんから商品の説明を受けて買い物をするスタイルから、消費者が自分で選び買い物をするというスタイルへ変化しました。そのため、商品自体が消費者にアピールをし、選んでもらうことが求められる時代になりました。

今までの商品の保管、輸送といった商品パッケージの目的だけではなく、消費者が商品を購入するか判断するための最終的な広告として商品のパッケージデザインはとても重要なものになったのです。
また、それだけでなく商品の情報、法律で定められた安心・安全な商品であることを記載する重要な目的も商品パッケージは担っているのです。

 

良い商品パッケージとは?

商品パッケージが、商品を保管するためだけではなく、消費者へ適切な情報を届けることや、広告としての機能を果たすようになった現在。良い商品パッケージのデザインとは、どのようなものなのでしょうか?
良い商品パッケージのポイントについて見ていきましょう。

メリコの法則

「メリコの法則」って知っていますか?パッケージデザインで重要なことが3つにまとまっている言葉です。
「目立っているか、理解しやすいか、好感が持てるか。」この3つのポイントの頭文字をとったものが「メリコの法則」と呼ばれています。パッケージデザインについて考える際は、「メリコの法則」を頭の片隅に入れて考えましょう。

わかりやすいパッケージ

商品を一目見て、商品の一番のアピールポイントや、どのように商品を使ってほしいのかを理解できる、わかりやすいパッケージデザインであることが重要です。
消費者が商品を理解するために使う時間はたったの数秒程度。その少ない時間で商品の情報を理解させるだけでなく、商品に興味を持ってもらうために、シンプルでわかりやすいパッケージデザインにしましょう。

見つけやすいデザイン

店頭に並ぶのは、一つの商品だけではありません。同じカテゴリーの様々なブランドの商品が棚に並んでいるでしょう。競合他社の商品が多数ある中で、自社の商品に注目してもらうためのデザインを考える必要があります。
商品のターゲットに合わせて、棚の中で目を引く、見つけやすいデザインを心がけましょう。

キャッチコピーで情報を的確に伝える

商品パッケージでは、キャッチコピーを上手く利用することで商品の情報をより的確に伝えることが可能になるでしょう。写真やイラストなどでは伝えられない商品の具体的なコンセプトなど、消費者が目を引くようなキャッチコピーを取り入れてみましょう。

誇張表現は避ける

商品の良さを少しでもアピールしようと、実際の商品とかけ離れた過度な表現にはならないように気を付けましょう。パッケージでの誇張表現によって、ブランドのイメージ低下にもつながりかねません。
写真やイラストはなるべく実物に近いもので、キャッチコピーは信憑性のあるデータを使います。消費者に信頼してもらえるようなパッケージデザインを心がけましょう。

 

良い商品パッケージの事例

身近な商品の良い、商品パッケージの事例を見ていきます。

事例⑴「キリン 生茶」

キリンビバレッジ株式会社の緑茶「生茶」は2000年に発売され、2016年にデザインを一新。2017年には「グッドデザイン賞」も受賞するなど、その新しいパッケージデザインはとても注目されています。

新しい生茶には「日本のお茶を変えたい。」という強い思いが込められています。日本人に親しみのある緑茶ですが、その市場はコモディティ化が進んでいました。そこで、キリンビバレッジでは、日本の緑茶文化をパッケージデザインから変えようと、ボトルの形状やラベル、デザインを細かく検討を重ねたそうです。
ガラス瓶のようなボトルと、無駄なキャッチコピーなどを省いた現代的なシンプルなデザインにすることによって、緑茶を飲む生活をより豊かなものにしてくれるような「グリーンボトル」に生まれ変わりました。
既存の緑茶のイメージを覆した商品として、売上も向上。現在も少しづつシンプルで洗練された印象になるようなデザインにリニューアルされているます。

 

事例⑵「明治 ザ・チョコレート」

様々なヒット商品を生み出している株式会社明治の「明治 ザ・チョコレート」は、2014年に発売開始し、2016年にデザインがリニューアルされました。一般的なチョコレートよりも高額ながらヒットをした背景には、商品パッケージのデザインに秘密が隠されていそうです。

「ザ・チョコレート」のパッケージは、中央にカカオの実のデザインがあり、フレーバーごとに色やパターンを変えています。従来のチョコレートのパッケージは、商品がイメージしやすいようにたくさんの情報が記載されていました。その中で、ターゲットに寄り添った斬新なデザインに挑戦することで、高級感のある唯一無二のチョコレート商品となりました。パッケージだけでなく、個包装にもこだわりが詰まっています。
また、パッケージを利用したハンドメイドなども流行り、パッケージデザインの可能性が広がっています。

 

これからの商品パッケージ

これからの商品パッケージはどのような視点が求められるのでしょうか?
インターネットが普及し、ネット販売が急速に広まっています。小売店からスーパーマーケットへ買い物スタイルが変化したように、ネットでの買い物を利用する方が増えるでしょう。ネット販売では、手に取って商品を購入するのではなく、画面越しでのデザインから商品の情報を得ることになります。
そのため、商品パッケージは画面越しでも伝わりやすく、画面の中でも映えるデザインが求められるでしょう。このように、買い物スタイルの変化とともに、パッケージデザインのスタイルも常に変化が求められます。
さらに、環境問題に配慮しプラスチック製の包装を減らす動きが活発になっています。これからはさらに環境に配慮した商品パッケージのデザインが求められる時代になるでしょう。

 

まとめ

商品パッケージは、買い物スタイルの変化とともに広告としての役割が大きく求められるようになってきました。商品パッケージのデザインは店頭でもわかりやすく、目立つデザインが良いとされますが、これからはネット販売も拡大することが予想されるため、「メリコの法則」も重要性が落ちてしまう可能性があります。
ネットの画面を配慮したデザインにも気を配る必要がでてきそうです。
数ある商品の中でも、選ばれるような商品パッケージのデザインを意識して考えてみてはいかがでしょうか。