ブランディング

「トーンオブボイス」とは?ブランドを的確に伝えるためのポイント

皆さんは「トーンオブボイス」を活用していますか?トーンオブボイスは、話し言葉や書き言葉などの言葉を通してビジネスの特徴を伝える手段です。マーケティング用語としても使われますが、実際はどのようなポイントを踏まえて活用していくのが望ましいのでしょうか?

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トーンオブボイスとは?

「トーンオブボイス(tone of voice)」とは、話し言葉や書き言葉などの言葉を通して、ビジネスの特徴を伝える手段として、マーケティング用語で使われます。「トーン(tone)
) 」は調子、「ボイス(voice)」は声、声明といった意味があります。
言葉の内容ではなく、読んだ人や聞いた人すべてに印象が残る話し方のことをトーンオブボイスと指します。
そのブランドの”らしさ”をアピールするために、トーンオブボイスを利用して文体や語調など特定の表現を決定します。そうすることで、ブランドのイメージをコントロールしたり統一感を出すことができるのです。

似たような言葉に「トンマナ(tone&manner)」という言葉があります。トンマナは「トーン&マナー」の略称。「トーン(tone)」は調子、色調といった意味があるため、色調や様式、つまりデザインやスタイルに一貫性を持たせるルールのことを指します。似ている言葉ですが、意味が違うため混同しないようにしましょう。

トーンオブボイスとブランディング

「トーンオブボイス」はブランディング活動にも効果的です。トーンオブボイスの専門家であるニール・テイラーは著書『Google最強のブランド戦略』の中で、グーグルがトーンオブボイスを上手く活用してブランドを確立していると主張しています。
「最強のブランド」と称されるグーグルの秘密は、表面化していないブランドの「人格」「文化」「哲学」といった部分に隠されているとのこと。グーグルはユーザーに対してくだけたトーンを使っていますが、多くの大手企業は投資家が相手になると話し方を変える傾向が多いのです。

トーンオブボイスを活用しているのは、Googleだけではありません。ブランディングの成功事例としてよく取り上げられるNikeもトーンオブボイスで、ブランドの”らしさ”を表現しています。
「いつもと同じ週末じゃつまらない。新たなことに挑戦しないか。#JUSTDOIT」「自信と決意をもってスタートラインへ。新しいジブンに会いに動きだそう。#JUSTDOIT」などプロモーションから商品の紹介に至るメッセージの様々な事例があります。

また、「サードプレイス(第三の場所)」を目指すスターバックスでも、トーンオブボイスを活用したメッセージを発信しています。
「”Plant your own garden and decorate your own soul, instead of waiting for someone to bring you flowers.” – Jorge Luis Borges #icedmacchiato (“誰かが花束を持ってきてくれるのを待つのではなく、自分の庭を持ち、自分の気持ちを飾ろう。”)」
商品の紹介、プロモーションにトーンオブボイスを活用するだけでなく、ブランドの考え方やユーザーの感情を動かすメッセージを発信する場合にも効果的とされています。
ブランディングに成功したブランドを紐解いてみると、トーンオブボイスを活用した事例が多く、いかにトーンオブボイスがブランディングに与える影響が大きいかがわかります。

SNSとトーンオブボイス

トーンオブボイスはSNSを活用する際にも必要な考え方です。最近では、企業がSNSの公式アカウントを作成して情報発信をすることが主流となってきました。SNSでは気軽にユーザーとコミュニケーションをとることができます。SNSだけでなく、ウェブサイトなど様々なコミュニケーション方法がありますが、これらのトーンオブボイスを統一し、ブランドの”らしさ”をアピールしていきましょう。
企業側は顧客に対して、情報を発信するだけでなく、長期的にブランドに興味を持ってもらうことが重要です。そのために、トーンオブボイスを統一してブランドイメージを確立することが大事なのです。

トーンオブボイスのポイント

最後に、SNS上でトーンオブボイスを活用する際のポイントについて見ていきましょう。

ポイント⑴1つに絞る

トーンオブボイスのトーン、語り口調は1つに絞ることが必要です。もし、ブランドが複数のトーンオブボイスで発信していたら顧客はどう思うでしょうか?どんなに有名なブランドであっても、顧客の混乱を招きかねません。そして、ブランドに対する信頼を失う可能性もあります。ブランディングが失敗した事例として取り上げられる「Gap」のロゴは、消費者からの反感が大きく、新しいロゴの発表からわずか1週間でロゴを再度元のデザインに戻しました。トーンオブボイスも同じく、ブランドの方向性に沿った語り口調を考えて一貫させることが重要です。

ポイント⑵伝えたいことを考える

トーンオブボイスを使って、顧客に伝えたいことは何か、信条が正確に顧客に伝わっているのをかを確認しましょう。この際に、トーンオブボイスを活用する際の信条は、ブランドの信条と一致することが必須です。先ほどのポイント⑴で取り上げたように、統一感のないコンセプトにたいして、顧客は不信感を抱きます。そのため、SNSなどを活用する際は、誰が見ても統一感のあるトーンオブボイスで発信してくことが重要です。

ポイント⑶準備・整理をする

SNS上で統一したトーンオブボイスを活用していくためには、事前準備をすることが必要になってきます。SNSを投稿する際のガイドラインをつくったり、それに沿って季節に合わせた発信内容を考えていきます。また、発信した後に定期的に見直すことも忘れないようにしましょう。修正点があれば随時直していきます。事前準備から投稿後の整理まで行うことができれば、より統一感のあるトーンオブボイスになるでしょう。

ポイント⑷コミュニケーションを取る

SNS上では、顧客とのコミュニケーションを大切にしていきましょう。顧客から意見や質問があった際には、無視をするのではなく回答していくことで、顧客との信頼関係を築くことができるからです。その際にもトーンオブボイスは統一し、コミュニケーションを取ることを心がけましょう。

まとめ

「トーンオブボイス」について基本的な考え方、ブランディングとの関係性、活用する際のポイントについてご紹介しました。ブランディングの成功事例としてよく取り上げられる企業はトーンオブボイスを活用していることが多いことがわかります。
ブランドのイメージを確立するためにトーンオブボイスを活用してみてはいかがでしょうか?