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世界の大企業はシリーズAの時どのように見えていた? 大企業のシリーズA時代とは?

※この記事はhttps://medium.com/female-founders-lead-the-way/what-did-billion-dollar-companies-look-like-at-the-series-a-e53ea8043a85を引用・翻訳したものです。

世界には、企業価値が10億ドル以上の企業が多く存在します。しかし、それらの企業のほとんどが、創業時から常に注目されていたわけではありません。

そこで、私たちShasta Venturesは現在人気の32の企業が、シリーズA時代にどのように社会から捉えられていたのかを調べてみました。この32社のうち、25社は現時点で10億ドル以上の評価がついている企業であり、残りの7社は今後10億ドル規模に達するであろう人気企業です。

この調査の中で我々は幅広いサイズやセクター、設立の歴史やユーザーの分析、マネタイズ方法やネットワーク効果、その分野での規制の厳しさや市場規模、そして社員の特性などを検討しました。

そこで見つけたいくつかの共通点を紹介していきます。

Contents

①簡単に却下されてしまうようなアイディア

一度企業が10億ドル規模に成長すると、彼らの基本的アイディアやバリューが当たり前のように見えてしまいます。しかし、初期の頃はそうではありませんでした。

分析によって分かったのは、多くの大企業は一見すぐに却下されてしまうようなアイディアを持っていました。

どれほどの人が黒い車に乗りたいでしょうか?誰が他人のゲームプレイを生配信で見たいのでしょうか?さらには、消えてしまう写真付きメッセージまで?!他人の家のソファでくつろぐ需要なんてあるのでしょうか?

ーAirbnbの創業者であるBrian Cheskyはこのように話しています

私たちがシリコンバレーに来た時、誰もAirbnbに投資したいとは思いませんでした。その理由の一つとして、誰もがこのアイディアをまともではないと考えていたからです。人々は皆知らない人の家に滞在したいなどと考えず、それはむしろとても不快なことだと思っていました。

②競業他社

従来の常識では、成功したスタートアップ企業は、大胆なアイデアを持って未開発な市場に進出すると言われてきました。しかし、その逆が真実であったのです。私たちが調査した10億ドル規模の企業のほとんどは、激しい競争市場にあります。

例えば日常のメッセージを送ることについて考えてみましょう。
SnapchatやWhatsAppの前にもコミュニケーションの方法はたくさんありましたが、これらのスタートアップ企業は厳しい競争にもかかわらず、大成功を収めています。今回の調査では、SNS分野に10億ドル規模の企業が最も集中していました。

もう一つの良い例は、Uber、Airbnb、Eventbrite、Instacartなどの企業を含むマーケットプレイス部門です。これらの新しい企業が登場する前にも、タクシーを利用したり、宿泊施設を探したり、イベントを企画したり、食料品を配達してもらったりする方法は確かにありました。しかし、これらの企業はより良いサービスを提供し、凄まじいスピードで成長していきました。

ここで重要なのは、消費者は優れた製品や経験であれば進んで受け入れるということです。また、既存の大規模市場は既に、顧客に新サービスを提供するテック企業によって破壊されるほど成熟していることも明らかです。

③既存の消費者行動を変化させる

10億ドル規模のtoC企業は、一般的に、何か斬新な製品を市場にもたらすのではなく、優れた体験で既存の消費者行動を変化させています。

Nextdoor、Square、Zulilyなどの企業は、近所の人とつながる、クレジットカードで支払う、オンラインで子供の商品を購入するなど、消費者が既に行っていることに新しい手段を提案しました。それぞれの企業の成功は、顧客についての独自の鋭い洞察力によって、より良い消費者体験を生み出したことに起因します。

Dropboxは、他のバックアップ/ストレージ/同期ソリューションよりも使いやすく、USBドライブやメールよりもはるかに優れていました。Tumblrはコンテンツを中心としたコミュニティを構築しましたし、Nest はインターネットに接続され、良質なデザインで、より効果的に省エネを実現するサーモスタットを開発しました。Uberは、交通という社会基盤のモデルを再構築し、街中を自由に移動するための便利な方法を提案しています。

④アントレプレナー

驚くことに急成長中の大企業のかじ取りをしている人の多くは経験豊富な経営者ではなく、未経験な創業者なのです。

この調査において3/4の企業は初めて起業をする人によって経営されていました。彼らは決してその業界での経験が豊富なわけではありませんでしたが、自分たちの製品に情熱を持ち、ターゲットとなる顧客にどのようにサービスを提供するかについて、独自の視点を持っていました。業界経験のある人たちは、しばしば「できない」ことや「うまくいかない」理由に制約を受けてしまうので、新鮮な視点を持つことは、製品やサービス開発に取り組む上で重要です。

⑤マネタイズしない

興味深いことに、調査した10億ドル規模の企業はシリーズAの時にマネタイズしていなかったのです。このステージにおいて、彼らは儲けを出すことよりも、顧客基盤を作ることに注力していました。

まず彼らは、顧客提案を明確にし、エンゲージメントを高めることに注力しました。市場で確固たる地位を確立し、大規模化してから、収益について考え始めたのです。

ほとんどの企業は初期の段階では収益を上げていませんでしたが、大規模に成長した企業の多くは、シリーズAラウンドまでに、製品と市場の適合性やネットワーク効果を示す兆候が見られました。

つまり、大成功する可能性のあるアイデアは、シリーズAの段階では明らかではないことが多いのです。

偉大なアイデアを持っていると思われるスタートアップ企業の中には、大失敗してしまう企業もあれば、軌道に乗るのに時間がかかる企業もあるでしょう。けれども、それ自体が全く注目する価値のない企業の特徴というわけではないのです。

まとめ

ここまで大企業のシリーズAにおける特徴を見てきました。多くの人は、その企業が進出した業界がブルーオーシャンであったり、企業家の手腕や経験が成功の鍵となっていると考えがちです。しかし、それは現実とは異なります。

巨大企業の成立のためには、新しく画期的なものや、優れた顧客体験を大きな市場に提供すること何よりも重要なのです。