ブランディング

ビジョンについて徹底解説!ビジョンが導く未来の姿

ビジョンという言葉をご存知でしょうか?

ビジネスにおいてよく耳にする言葉かと思います。しかし、本来の意味や定義を理解していない方も多いのではないでしょうか?なんとなくビジョンが大事ということは理解しているつもりだが、とりあえず策定してそのままという方も多いかと思います。

また、ブランディングにおいても、ビジョンは全ての源泉になる存在で、極めて重要です。まずは正しくブランディングを実行するためには、正しいビジョンを策定することが必要不可欠です。

ここでは、ビジョンを正しく理解し、企業を前進させる有効な手段として使い切れるように、reiroがビジョンについて深く掘り下げていきます。

大きく、

・ビジョンの意味とは?
・ビジョンが持つ効果
・良いビジョン、悪いビジョン
・ビジョンの作り方
・ビジョンに関するQ&A

の5つを前後編に分けて、解説していきたいと思います。是非、ビジョンを理解した上で、ビジネスやブランド作りにお役立ていただければ幸いです。

 

ビジョンとは?

最初にまずは、ビジョンという言葉何を指すかについてお話ししていきます。なんとなく漠然としたイメージがあるが、言葉にすると説明しづらい方も多いのではないでしょうか。

また、「ミッション」「バリュー」「コンセプト」など、思わず混同してしまうワードもたくさん存在します。

これらが曖昧なまま、ビジョンを設定してしまうと、そこから使うことができづ、ただ策定しただけになってしまいます。弊社では、ビジョンを「使う」ことを重要視しています。しっかりと概念を理解することによって、正しくビジョンを「使う」ことができます。

まずは、ビジョンの意味の理解度を高めた上で、重要性や策定方法など、具体的な中身を説明できればと思います。

ビジョンは企業の旗印となる、目指す未来の形

弊社では、ビジョン・ミッション・バリューを船で例えています。

船で言うと、ビジョンは旗印になります。ビジョンという旗印を掲げることで、船がどのような意志で存在しているか、また、船の未来の目指す形を掲げ、船員や周囲に認知・理解させることができます。

ビジョンがなければ、その船が何のための存在するか曖昧になり、途方に暮れてしまいます。また他の船との区別も分からなくなります。その船は難破してしまい、深く沈んでしまうでしょう。そうならないためにも、目指す未来の形に意志を込めた正しいビジョンを掲げ、皆に周知させる必要があります。

また、ビジョンは周囲の共感を生むことができます。目指す未来の形を周知するだけでなく、共感を与えることによって、周囲から応援されるような環境を生むことができます。

うまくビジョンを使うことによって、社内外から強く共感される企業へ導くことができます。

ビジョン・ミッション・バリューの違い

よくビジョンと同時に語られる概念として、ミッションとバリューが挙げられます。特にミッションとビジョンを混同するケースは多いのではないでしょうか?

それぞれビジョンは「目指す未来の形」、ミッションは「果たすべき使命」を、バリューは「企業の価値観や社員の行動基準」を意味しています。

ミッションは、企業が社会に対して果たすべき使命です。何のために仕事をしているか、そして何を成し遂げるべきかを定義付けしています。このミッションは、現在はもちろん、今までそしてこれからと、日々果たしていることを指します。すなわち、ミッションが企業の存在意義とも言い換えることができます。

また、ミッションの果たすべき使命を積み重ねた結果が、目指す未来の形であるビジョンに繋がります。このミッションとビジョンの関係性をうまく理解することが、業務に活かす上で非常に重要となります。

この時間軸をとらえた上で、ビジョンとミッションを定義することによって、何故この業務に取り組んでいるかが非常に明確になります。

バリューは、企業の価値観や社員の行動基準です。言い換えると、社内外に掲げている企業のルールです。このバリューに従って行動することによって、ミッションが達成され、ビジョンが成就するという流れになります。
このバリューを社外に理解されることによって、企業のカラーやスタンスをより深く感じることができ、共感につながります。ありきたりなルールではなく、ビジョンの成就に直結するバリューが、人々の理解や共感を呼ぶのです。

また、バリューは社内組織にも大きく影響します。このバリューに従って従業員を評価したり、人材採用の基準にしたりすることによって、ビジョンの達成につながります。

ビジョンと繋がりのあるバリューを設定することで、ミッションに強く共感し取り組み推進力を生むのです。

ビジョンとゴールデン・サークル

世界中でベストセラーになった『WHYから始めよ』著者のサイモン・シネック氏が、TEDで自身のゴールデンサークルを提唱しました。TEDのトーク全体の3位という人気を誇り、わかりやすくも説得力のある内容が話題を呼びました。

TED/サイモン・シネック 優れたリーダーはどうやって行動を促すか?

サイモン・シネック氏は、
なぜアップルが成功したのか?
ライト兄弟は、世界で初めて有人飛行を成し遂げたのか?
キング牧師は人を惹きつけたのか?

などを、ゴールデンサークル理論を元に語っています。
そこには、WHY=なぜするのか?から始めることによって、人に訴えかけているからです。

ゴールデンサークルは、以下の通りです。

人々は、何かを行動するときに、WHAT=何をするのか?や、HOW=どのようにするのか?から考えることが多いのではないでしょうか?顧客分析や競合比較などから捉えてしまう事によって、結局顧客に響かないことは現実よく生じていることだと考えます。
ゴールデンサークルでは、その順序を逆にし、WHY=なぜするのか?⇒HOW=どのようにするのか?⇒WHAT=何をするのか?の順番で人々に訴えることの重要性を説いています。

具体例として、シネック氏はライト兄弟とサミュエル・ラングレーという人物の違いを挙げています。よく失敗の要因に挙げられる、ヒト・モノ・カネの全てをラングレーは持っていたが、結果として先に有人飛行を成し遂げたのは、その全てを持ち合わせていないライト兄弟でした。違いはただ一つ、WHY=なぜするのか?という視点を持っているか否かでした。ラングレーは地位と名誉のために取り組んでいたため、人々を惹きつけることができなく、ライト兄弟が成功させたと同時に開発をやめてしまいます。正しいWHYを持っていると、改良して上回ることもできたはずなのに。つまりWHYは本人だけでなく、従業員に語りかける言動も変え、結果までも変えてしまう力があると言うことです。

これは、ビジョンも同じことが言えます。人々を惹きつけるWHY=なぜするのか?があるビジョンは、共感するものを引き付けて、行動を変えることができます。そして正しいビジョンは、結果まで変えてしまう力を持っています。それは、皆が共感できる旗印があるからこそ実現できるのです。

ビジョンが持つ効果

まずはビジョンとは何かお伝えしました。次は、ビジョンが持つ効果についてお話ししていきたいと思います。

よく、弊社ではブランディング着手する前にビジョンを策定することをお勧めしているのですが、その際に重要性がわからないという声をよくお伺いします。
では、なぜビジョンを作るのか、そしてビジョンが持つ効果についてご理解いただき、ご自身のビジネスの助けになれば幸いです。

ビジョンが導く、明確な目的地

前述の通り、ビジョンは旗印となり、目指す未来へと誘ってくれます。この旗印がなければ、それぞれのマインドの違いが目指す方向のブレを生んでしまいます。

事業を運営する際には、たくさんの判断や意思決定が問われます。さらに経営者のみならず、社内全員がそういった状況下にあるため、逆にいうと、目的に対してブレるリスクはそこら中に潜んでいると言えるでしょう。
そういった中で、目指す未来が社内での共通認識ができていれば、各意思決定のスピードや到着する着地点まで、様々な場面で効果が出てきます。

ビジョンが意思決定をスムーズにする

経営者自身は、ビジョンが明確なためにぶれるリスクは比較的少ないですが、企業が成長するにあたって、自身の直接部下の人数も減っていき、細かな意思決定は自身で下すことが少なくなってきます。
そういった場面で発生したブレがどんどん波及していき、全体に大きな影響を及ぼすという恐れを孕んでいます。
そういった意味でも、経営者が持つビジョンをしっかりと掲げ伝達する事によって、自身のひ孫のような社員にも正しい目指す未来を共有することができます。

良いビジョン、悪いビジョン

ビジョンの効果がわかったところで、ここでは良いビジョンと悪いビジョンの違いをご説明いたします。

ビジョンは誰にでも立案することができる一方、正しく機能していなかったり、逆にビジョンに影響で事業の範囲を狭め、チャンスを拾えなかったりする恐れもあります。ここでは、良いビジョンと悪いビジョンを明確にし、正しいビジョンを策定する指標になれば幸いです。

良いビジョンが、推進力を生む

まず、良いビジョンは、目的地が明確です。誰が見ても聞いても、最終的な目的地のイメージがつき、簡単に人に説明できるような明瞭さが必要とされるでしょう。
よくビジョンとキャッチコピーを混同する場合が多いですが、ビジョンはインパクトを残すために作成するわけではありません。奇を衒ったコピー開発に陥ってしまい、本質の部分が直感的に理解できないのは悪いビジョンと言えます。丁寧且つ明瞭な言葉で、誰にでも理解できることこそが、良いビジョンと言えます。

また、良いビジョンは、共感性が非常に高いことが例に挙げられます。
そのビジョンを聞いただけで、目的地に向かって一員として携わりたい、努力したいと思えるようなビジョンが重要です。
どの会社にでも掲げられるビジョンの場合、強い共感が得られず、他社と比べても違わないと思われてしまうことがあります。これは、悪いビジョンです。他社とは違う明確なビジョンを設ける事によって、ここでしか体感できない未来の形が想像でき、強い共感を生むのです。

近視眼に陥る悪いビジョン

マーケティングマイオピアという言葉はご存知でしょうか?これは、ハーバード大学の教授である、セオドア・レビット教授が論文で提唱した考え方です。

マーケティングマイオピアは、近視眼的に事業領域を捉えてしまい、マーケティングが小さくなり、視野が狭くなってしまっている状態のことを指します。

狭い領域で自社が成長できると考え短期的に戦略実行しまう事によって、近視眼的になってしまった結果、急激なイノベーションが起きた際に状況変化に耐えきれず、企業は市場から衰退していきます。

よく例に上がるのは鉄道会社の例です。
第二次世界大戦後、1960年代のアメリカの鉄道業界は大きく落ち込みました。理由として、自動車が民間に普及したことが影響します。航空機も発達した事によって、国土の広いアメリカにおいて、鉄道業界は衰退に追いやられました。まさに、イノベーションが産んだ大きな状況変化です。

レビット教授は鉄道業界がマーケティングマイオピアに陥ったため、衰退したと分析します。自社を「鉄道事業」という狭い事業領域で捉えてしまったため、イノベーションによる変化についていけずに衰退したと考えられます。
ここで、顧客が求めているものを理解し「移動」と認識していれば、「鉄道事業」でなく「移動」や「輸送」という広い捉え方によって、状況変化に耐えうったのではないかという事です。

まさに、ビジョンの設定がマーケティングマイオピアを未然に防ぐことができます。しっかりと目指す未来の形を近視眼的に捉えず、正しいサイズ感で捉える事によって、自ずと状況変化に対抗できる組織へ成長します。
ビジョンはコロコロ変えるものではありませんが、状況変化に関しては、状況に合わせたビジョンの再設定も必要です。また、大きく捉えすぎると、未来の形が全く想像できなく、共感性が失われる恐れもあります。サイズ感を意識しながらビジョンを策定し使っていくことが、マーケティングマイオピアを予防できる上で極めて重要です。

様々なビジョンの違い

よく中長期経営計画の中にあるビジョンとここで扱うビジョンの違いについて質問を受けることがあります。これは明確に意味合いが違うので、混同しないように注意が必要です。
経営目標の中で語られるビジョンについては、あくまで経営数値目標を達成するために設定しています。ですので、いわゆる未来の形とは意味するものが違うという事になります。
区別がある上で利用するのであれば一向に構いませんが、混同してしまうとブレにつながってしまうので、注意が必要です。言葉の設定を変えるなどでリスク回避できますので、取り扱いに注意していただけると幸いです。

他にも、企業理念の設定には様々なワードが飛び交い、それぞれ解釈のズレなどが見受けられます。それぞれ設定することは良いのですが、使用フェーズで決め事が多いと煩雑になってしまい、結果ブレに繋がることが多いです。
その上で弊社では、ブランディングを行う上での企業理念としての設定項目は、ビジョン・ミッション・バリューそしてブランドコンセプトの4つのみが理想と考えています。

むやみにいろんなものを設定するより、より強く太いビジョンを作り上げることこそが、強いブランドを形成する上で重要と捉えています。

まとめ

ここまでは、ビジョンの概念や効果について解説しました。後編では、いよいよビジョンの作り方についてお話ししていきたいと思います。