ブランディング

老舗企業に必要なブランディングの考え方とブランディングの成功事例とは

老舗企業にとってもブランディングは欠かせません。世界でもっとも老舗企業が多い国として知られている日本ですが、老舗が生き残りつづけるためには、ブランディングを通して常に問題点を改善し続けていく必要があります。今回の記事では、老舗企業にブランディングが必要な理由、そして成功・失敗の事例を見ていきましょう。

Contents

老舗企業が多い日本

世界の80%もの老舗企業が日本にあると言われているほど、日本には老舗企業が多く存在します。そもそも「老舗」は創業100年を超える企業のことを指しますが、帝国データバンクのデータベースによると、日本の老舗企業は約2万社。企業全体の1.6%にのぼります。さらに、創業から200年以上経っている江戸時代創業の老舗企業は938社も存在すると言われています。

今回の記事では、老舗=創業100年以上という明確な基準は設けません。創業から長い年月を経た歴史ある企業も、創業100年未満であっても老舗と捉え、ブランディングの必要性について考えていきます。

老舗企業とブランディング

歴史がある老舗企業では、既にベストセラーとなっている商品やサービスがあり、企業理念も固定化されていると思います。しかし、現在はインターネットが発達し、ビジネスモデルや社会の変化が激しくなっている時代です。従来の商品、企業理念が通用しない時代が訪れるかもしれません。
そのため、老舗企業であっても時代の変化に合わせたブランドイメージの刷新を行っていくことが必要になってきます。さらに現在は「大企業=安定」という従来の安心感は、もう神話に近いとさえ言われています。「新卒の3割が3年で辞める」と言われている時代です。どうしたら消費者、従業員にとって魅力的な企業と感じてもらえるのか、見直す機会が求められています。

一方で、ブランディングをすることによって、企業イメージを下げてしまう場合もあります。実際にブランディングが失敗し、イメージダウンしてしまった老舗企業もいくつか存在します。老舗企業がブランディングを行う際は、より一層、慎重になってブランディングを行うことが必要でしょう。

リブランディングとは

既に構築された商品やサービスなどブランドを再構築するブランディングのことを「リブランディング」と指します。
時代の変化に合わせてブラッシュアップしていくというイメージです。紳士絵企業がブランディングを行う際は、リブランディングを視野に入れて考える必要があるでしょう。
既存のブランドを全て取り払うのではなく、可能な限り有効活用しましょう。
リブランディングを行うタイミングとして一般的にいわれているのが、ブランドの表現が古くなっている時、ブランディングが上手くいかない時、市場の環境が変化したとき、代替わりして方向性を変えたいときなどがあります。
しかし、時代に合わせて変化するということは、単にロゴやパッケージを変更するという安易なブランディングの方法ではありません。老舗企業がこれまでに確立してきたブランドイメージを前提に、老舗が持つ強みや弱みを活かしたブランディングを行うことで、競合と差別化できる点を模索していくことができます。

ブランディングの成功事例

ブランディングが成功した老舗企業の事例をご紹介します。

成功事例⑴虎屋

室町時代に創業し、現在も営業をつづけている老舗和菓子店「虎屋」はブランディングが成功した事例として有名です。
現在は、和菓子店に行かなくても、どこでも手軽にお菓子を楽しめる時代になりました。また、日本人の食文化が変化し、洋菓子が一般的になるなど、和菓子に対する人々の価値観も変化が生じてきています。

虎屋では、こうした時代の変化に合わせて若い女性に向けたカフェを表参道や六本木に展開するなど、新しい試みを行ってきました。
虎屋の社長である黒川さんは「大切なのは今であり、今おいしいと言ってもらうこと」と語っています。虎屋のブランドイメージは変えずに、現代の人々の好みに合わせた和菓子を提供することで成功しています。

成功事例⑵祇園辻利

1860年、江戸時代末期創業の祇園辻利は老舗の茶屋です。ペットボトルで簡単にお茶が飲めるようになり、日本人とお茶の関係性に変化が生じてきました。

そこで、祇園辻利では、改めて伝統的な急須で入れるお茶の良さを伝えることを目指し、日本の文化であり折り紙をモチーフとしたパッケージにリニューアルしました。
老舗企業なれではの日本の和の心を大切にした新しいデザインは、2011年のグッドデザイン賞を受賞しました。

ブランディングの失敗事例

ブランディングが失敗した老舗企業の事例をご紹介します。

失敗事例⑴バーガーキング

日本でも有名なハンバーガーチェーンの「バーガーキング」。主要商品の「BURGER KING」とブランド名がバンズに挟まれたロゴが特徴的です。
しかし、突然、ブランド名を「FRIES KING」に変更、ロゴのデザインもフライドポテトに変更するとバーガーキングが発表したのです。ロゴの下には「元バーガーキング」と記されており、それを見た消費者の混乱を招きました。話題づくりのキャンペーンであったはずが、混乱を生み出してしまったバーガーキングのキャンペーン。主要商品であったハンバーガーを軽視したロゴは、消費者を裏切る行為とも指摘があります。

しかし、2021年1月、バーガーキングが20年ぶりとなるリブランディングを実施。食欲を刺激するロゴデザインであるとして、今回のブランディングは好評だったようです。

失敗事例⑵ドクターペッパー

1885年に生まれた老舗炭酸飲料のドクターペッパーは、女性権利団体から苦情が来るのではないかと思われるほど大胆なプロモーションを展開し、話題になりました。
2011年に低カロリー版の「Dr Pepper TEN」を発売。この商品のターゲットは完全に「男性限定」であり、CMでも男性専用のコンテンツを制作し、女性を排除しました。

ターゲットを絞るのは悪いことではありませんが、性別で限定し、差別的なメッセージを発信することはブランドイメージを低下させることに繋がるため、注意が必要です。

まとめ

老舗企業におけるブランディングの必要性はこれからますます高まってくると思います。時代の変化に合わせて柔軟にリブランディングを行っていくことで、変化の激しい時代でも生き残ることができる企業を目指してみてはいかがでしょうか。