ブランディング

ブランディングの持つ効果とは?強いブランドが持つ優位性「ブランド拡張」について

ここではブランディングの効果による優位性の一つとして、「ブランド拡張」を取りあげます。

ブランドへの評価が高いほど、ブランド拡張はより成功し、より多くのカテゴリに拡張できます。 また、ブランド拡張を行うこと自体が、マスターブランドのブランド・エクイティを高めるため、ブランド価値が希釈化されることはありません。

では、具体的に「ブランド拡張」の内容について掘り下げていきたいと思います。

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強いブランドが持つ優位性「ブランド拡張」とは?

例えば、ファンタの新しいフレーバーが発売されたとします。もし、同時に全く知らないブランドの同じフレーバーが発売されたとして、価格が同じの場合、あなたはどちらを手にとりますか?恐らく前者を手に取るのではないでしょうか。

強いブランドの「ブランド拡張」は、元々持つマスターブランド(親ブランド)の力によって、そのブランドを冠した新商品の成功率をあげる効果があります。また、拡張した商品の成功により、マスターブランドの価値を向上することもできます。

ブランドにとって「ブランド拡張」の効果が重要視される背景

あなたの周りを見渡しても「ブランド拡張」されている商品は非常に多いかと思います。まさに、「ブランド拡張」の力が強いことを示しています。物が溢れる現代において、一つ強いブランドを作りきる事によって、そのブランドパワーを使って多方向にアプローチできるということです。このように、強いブランドを作る事によって、事業戦略性に幅を持たせることができます。

『「ブランド拡張」の戦略とは?ブランド拡張で企業の成長に繋げよう』の記事はこちら

様々な「ブランド拡張」の種類

「ブランド拡張」は別名ブランド・エクステンションとも言われ、もしかしたらこちらの方が一般的に耳馴染みが良いかもしれません。また、上記では、フレーバーによる「ブランド拡張」の例を取り上げましたが、ブランド拡張には様々な種類があります。

ライン拡張

ライン拡張は、マスターブランドの資産を使って、同じカテゴリの中に新しい商品ラインを広げることです。上記のファンタの例もライン拡張にあたります。

フレーバーだけでなく、サイズ・機能・形状・価格など様々なライン拡張が存在します。

昨今では、既存ブランドのプレミアム化を取る戦略をよく目にします。これもライン拡張の一部に当たります。

ライン拡張は既存のブランドに対して悪影響が出そうな場合、すぐ切り離して撤退することも容易であり、また期間限定品との相性も良く、取り回しがしやすいことがメリットです。また、フレーバー以外でもサイズや形状(ジュースの缶がペットボトルになど)を変えること拡張は可能で、比較的現在の資源が活かしやすいこともメリットと言えます。

一方で、ライン拡張した物が定番化することも難しく、ライン拡張を乱発する事によって、マスターブランドに傷をつけてしまうことも多いです。特に期間限定品による短期的なブランド戦略によって、レギュラー品が売れなくなることもよく散見します。

ライン戦略が気軽であるが故に、中長期的な目線を持って、マスターブランドと拡張ブランド双方にとって良いブランド戦略が求められます。

カテゴリ拡張

カテゴリ拡張は、マスターブランドのカテゴリ外で「ブランド拡張」を行うことです。例えば、ライザップがライザップゴルフを展開しました。従来のダイエットというカテゴリからゴルフという別のカテゴリに拡張しています。これは、元々ライザップのブランドプロポジションである「結果にコミットする」から、「ブランド拡張」を行ったということです。

カテゴリ拡張は、ライン拡張と違い事業単位で行うことが多く、ダイナミックな戦略になることが多いです。新しいカテゴリに新規参入する際に、マスターブランドの強いブランド力を生かすことができるため、通常の新規参入より容易にカテゴリに入り込むことができます。

一方で、カテゴリ拡張に失敗したときにマスターブランドに与える悪影響も大きいです。また、マスターブランドの持つブランド価値を履き違えた状態でカテゴリ拡張を行い、親子共倒れになるリスクも生じます。さらに、親ブランドのブランドイメージが十分に知覚されていない状態でブランド拡張を行うことによって、マスターブランドのイメージのブレが発生することもしばしばです。カテゴリ拡張を行う際は、自社のマスターブランドが持つブランドイメージをしっかりと認識した上で、慎重に戦略実行すべきです。

まとめ

「ブランド拡張」については、企業や事業側もはっきりと理解しないで意思決定されるケースも多いです。私自身も様々な「ブランド拡張」をメーカー内で見てきましたが、収益目線で取り扱うことも多く、「ブランド拡張」が頻繁に行われる事によって、ブランド内でのカニバリゼーション(共食い)が発生している事例も多々見てました。

全て自らが持つブランドは何か?ということを把握しながら、俯瞰してブランディングを行う事によって、効果的に「ブランド拡張」を行っていくことが可能です。マスターブランドの価値を常に認識しながら、相乗効果のある「ブランド拡張」を行っていくことが重要です。