ここではブランディングの効果による優位性の一つとして、「知識」を取りあげます。
消費者はその商品カテゴリに限られた知識しかもっていない場合、ブランド名は最もアクセスしやすく、判断に役立つ手がかりになります。そのため、ブランドが直感的に判断する材料として用いられます。
では、具体的に「知識」の内容について掘り下げていきたいと思います。
Contents
強いブランドが持つ優位性「知識」とは?
「餅は餅屋」という言葉がありますが、あるカテゴリに対して強いブランドが存在します。そのカテゴリについて、顧客があまり知識を持っていない場合、ブランド名を手がかりとして購入するケースがあります。この優位性が「知識」です。
例として、体重計を買う際に体重計の機能はよく分からないが、「体重計といえばとりあえずタニタか」「タニタであればとりあえず大丈夫だろう」など、特定のブランド名が想起されることはありませんか?
まさに、強いブランドの「知識」が上手く働いていると言えます。特定カテゴリにおける情報の乏しさを「知識」の効果が補っているのです。
「バンドワゴン効果」とブランドの持つ「知識」の優位性
「バンドワゴン効果」をご存知でしょうか?
ある商品やサービスに対し、たくさんの人がそれを支持している場合、その製品や事柄への支持がより高くなるといった効果です。これは、カテゴリシェア1位のブランドに起こりうることが多く、カテゴリの第一想起として圧倒的な力を発揮します。
ブランドの「知識」にも同じような効果があります。強いブランドであれば、よく分からない商品カテゴリであっても、「知識」の手がかりで商品購入決定に導くことができるのです。
カテゴリシェアとマインドシェア
一般的なカテゴリシェアの場合、その強弱はカテゴリの中の流通量や販売価格で判定することが多いです。一方ブランドの場合は、強弱は顧客におけるマインドシェアを占めているか否か、という事になります。
つまり、自身の商品やサービスの得意なポジションでブランドのマインドシェアを獲得できれば、流通量や販売価格がリーダーに劣っていても、商品選択の手がかりになり得るのです。
ダイソンのブランド戦略と「知識」
これは、ダイソン社が好例です。国内市場において、ダイソンは決してカテゴリシェアのトップではありませんでしたが、「吸引力の変わらない、ただ一つの掃除機」という強烈なキャッチコピーを用いて、「掃除機+吸引力」で圧倒的なマインドシェアを獲得し、独自のポジションでブランドを作り上げました。均質化した市場の中でも、新規参入企業がブランドの「知識」の力を活かす好例と言えます。
まとめ
「知識」はブランドが持つ代表的な効果の一つで、顧客の商品選択を簡単にしてくれます。そのためには、しっかりと自社商品や事業の差別化を認識した上で、ブランド蓄積していく必要があります。
上記のダイソンの事例は優れたコピーとマスメディアを使って、一気にマインドシェアを獲得した一例ですが、一般的な企業でも自社のブランドを磨き上げることで、同じ戦略を取ることが可能です。また、キャッチコピーのようなプロモーション戦略だけでなく、商品の特長やチャネル、価格戦略などによってもブランドを体現することが可能です。
自社のブランドプロポジションを設定し、あらゆるタッチポイントでブランディングを行うことが、「知識」の力を手に入れる近道と考えます。