新しい商品を社会に浸透させたい時、あなたはキャズムについて正しく理解していますか?キャズムは新商品を効果的に社会に浸透させたいときに無視できない理論です。今回の記事ではキャズムがどうして起きてしまうのか、イノベーター理論と合わせてご紹介します。
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キャズムとは?
キャズムは直訳すると深い溝を指します。マーケティング用語としては、製品やサービスを市場に普及させる時に、越えなければならない壁や障害といった意味を持ちます。具体的には、後に説明する5つの層の②のアーリーアダプターと③のアーリーマジョリティーの間にその溝は生まれます。この深い溝、キャズムを越えることが市場獲得に直接繋がるということで重要視されています。
イノベーター理論
キャズムを理解するためにはまずイノベーター理論を知る必要があります。イノベーター理論とは、①イノベーター(Innovator) ②アーリーアダプター(Early Adopters)③アーリーマジョリティー(Early Majority)④レイトマジョリティー(Late Majority)⑤ラガート(Laggards)と市場を5つの層に分けて新商品の普及度を見つめる理論です。ここからはそれぞれの層の特徴を見ていきましょう。
①のイノベーターは、市場の2.5%を占める情報感度が高い層です。多少のリスクがあっても流行の最先端であることに興味を持ち、新商品をいち早く手に入れ「革新者」になりたいと考える層です。
次に、②のアーリーアダプターは、市場の13.5%を占め、流行に敏感な層です。イノベーターが先進性に熱狂するのに対して、アーリーアダプターは先進性の中のメリットを把握した上で取り入れます。後の3つの層に大きな影響を与えることから、「初期採用者」と言われます。次に、③のアーリーマジョリティーは、市場の34%を占める、既に広まっているものを取り入れようとする層です。安心感や信頼感を持った上で流行を取り入れる傾向があり、市場規模も大きいことから「前期追随者」と言います。そして、④のレイトマジョリティーは市場の34%を占め、新し商品などに懐疑的な「後期追随者」です。市場の過半数が利用していてその効果が目に見えてわかる時、初めて手にとるようになります。最後に⑤のラガードは、16%を占める新しい商品などを嫌う層です。もっとも攻略するのが難しく、新商品が伝統や文化になるまで浸透しにくい層とされています。
キャズムが生まれる原因
では、キャズムがどうして生まれてしまうのでしょうか。それは、イノベーターとアーリーアダプターの2つの層と、それ以降の層では考え方が異なるためです。前者は、流行に敏感であるため、「新しさ」を積極的に取り入れようとします。一方で、後者は大多数の人が購入して初めて新しい商品に対して信頼することができます。つまり購入に至るまでに「安心感」が重要となります。そのため、両者の間には深い溝、キャズムが生まれるのです。
キャズムを超える5つの方法
ではキャズムを越え、市場で新商品を多くの人に手にとってもらうにはどうしたらいいのでしょうか。今回は5つの方法を紹介します。
現在の商品の浸透状況を把握する
まずイノベーター理論をしっかりと理解したうえで、どの層まで今新商品が浸透しているのか知る必要があります。そもそもキャズムを見つめる前にイノベーターが獲得できているのか。アーリーアダプターの数がまだまだ足りないのではないか。現状把握しないことには、最優先で考えるべき内容は正しく策定できないでしょう。
リリース直後のアプローチ
イノベーターやアーリーアダプターに一気に新商品のメリットを広めるためには、リリースの仕方が重要になってきます。自らの先進性や高度な技術力を色濃くアピールし、新規市場である2つの層に取り入れてもらうことで、その新商品は一気に軌道に乗れるからです。実際にアーリーマジョリティに浸透させたい時、新規市場の2層が当たり前のようにその商品を活用しているのを見ると、メインストリームは信頼度の高い商品として認識するため、他製品に比べて優位性を保つことが出来ます。
アーリーマジョリティへのアプローチ
アーリーマジョリティはメインストリームの入り口であり、商品やサービスをレイトマジョリティーとレガートへ浸透させる大切な役割を担っています。そのため、この層へ訴求することはレイトマジョリティ以降への信頼度や安心感を向上させることに繋がり、キャズムを乗り越えるための正攻法とされています。実際にアーリーマジョリティへのアプローチには、安心感と期待値を上げるために、「実績をアピールすること」。メリットの透明性を伝えるために、「具体的な数字をアピールすること」。購入後の心配を購入前に防いでおくために、「利用のリスクを抑えること」。この3つが効果的とされています。
使いやすい商品にアップデート
アーリーマジョリティ以降のメインストリームと呼ばれる3つの層は、新規市場に比べて、高度な技術力や流行を求める以上に使いやすさを求めます。つまりイノベーターやアーリーアダプターが興味を示した最新技術や先進性も、使いこなせるユーザービリティの高さがないとメインストリームには受け入れてもらえないのです。そこで高いユーザービリティを実現するためには顧客の意見に耳を傾け、改善を重ねる必要があります。改善を繰り返すことで、信頼度を高めたり親近感を植え付けることに成功し、市場でのシェアを大きくしていくのです。
ターゲットを絞る
ターゲットを絞るというのは、「狭い市場をターゲットに絞る」ということです。最初から巨大市場を狙ってPRするのではなく、市場を狭くターゲティングして少しずつ大きい市場に手を広げていくという方法です。狭い市場のなかのイノベーターやアーリーアダプターはより流行の最先端を感じ、ロイヤルカスタマーとして商品を宣伝してくれる存在になる可能性もあります。狭いターゲットから広げていくことは顧客同士の刺激し合う環境が、商品の価値を高めていくでしょう。
まとめ
今回の記事ではキャズムとキャズムを説明するにあたって欠かせないイノベーター理論。そしてキャズムを乗り越えるための5つの方法を解説しました。顧客を5つの層にわけて考えたときに生まれるキャズムの存在について理解することができましたでしょうか。商品やサービスが現在置かれている環境を理解した上で、キャズムを越える戦略を立ててみましょう。