ブランディング

ブランディングの持つ効果とは?強いブランドが持つ優位性「損失回避」について

ここではブランディングの効果による優位性の一つとして、「損失回避」を取りあげます。

利益から得られる満足より、同額の損失から得られる苦痛の方が大きいことから、損失を利益より大きく評価する心理が働きます。従って、顧客から知られていないブランドから得られる利益よりも、知っているブランドからの切り替えから感じられる損失のほうが、顧客には大きく感じられます。

では、具体的に「損失回避」の内容について掘り下げていきたいと思います。

強いブランドが持つ優位性「損失回避」とは?

「損失回避」とは、人は無意識のうちに、得することを得るより、損することを避けようとすることです。プロスペクト理論とも呼ばれます。

例えば、

1.1000円必ずもらえる

2.50%の確率で2000円もらえるが、50%の確率で0円になる。

この場合、1を選ぶ人が多い傾向があります。もらえない(損失)リスクのある2より、確実に利益を見込める方を選択する心理が働くためです。

一方で、

1.1000円罰金を払わなければならない

2.50%の確率で2000円罰金を払わなければならないが、50%の確率で罰金は免除になる。

この場合、2を選ぶ人が多い傾向があります。リスクを負ってでも、罰金(損失)を避けようとする心理が働くためです。

このように、人は無意識のうちに利益より損失を選ぶ心理が働くと言われています。

ブランドにおける「損失回避」

「損失回避」は、ブランドにも同じことが言えます。

ブランドスイッチをする事によって得る新たな体験より、ブランドスイッチをする事によって失敗する損失の方が大きく感じてしまうのです。

例えば、いつも愛用しているおむつがあるとします。新規ブランドのおむつが特売且つ自身のニーズにも合致していた場合、新たなおむつの魅力を感じつつも、結局いつものおむつを購入してしまいます。

これこそが、「損失回避」です。いつものおむつのブランドに安心を感じているため新たなおむつのブランドの魅力よりも、安心の「損失回避」を選択したということです。

これは、損失した場合にリスクが多いものほど、「損失回避」の影響が強くなる傾向にあります。

ブランドの「損失回避」がもたらすメリットとデメリット

「損失回避」の意味することは、強烈なブランド価値があれば、ブランドスイッチを起こすことは容易ではない。ということです。

一方で、一度強いブランドに顧客獲得された場合、「損失回避」によってなかなか顧客獲得ができないというデメリットも意味します。

特に、信頼材と呼ばれる、購入したり使用したあとでも品質を判定できないものは、「損失回避」が働き、ブランドスイッチが起こしにくいとされます。

例えば、比較検討しにくく効果性も相対評価できないSaaSモデルの商材や、士業・学習塾などは信頼財に当てはまり、強い「損失回避」が作用します。

よって、信頼財に当てはまるものは、「損失回避」をうまく使う事によって、顧客のブランドスイッチを防ぐことができます。

ブランドの「損失回避」のメリットとデメリットについて考える

ここでは、それぞれのメリット・デメリットに対して、どのようなブランド戦略をとるべきか、一例を記載します。

「損失回避」のメリットと3つの財

上記のように、信頼財は「損失回避」の影響を大きく受けます。

ここで3つの財を整理すると、

【探索財】商品を買う以前に、商品の品質を判定できるもの(野菜・魚など)

【経験財】商品が購入され使用すると、品質を判定できるもの(飲食店など)

【信頼財】商品が購入したあとでも、品質をはっきりと判定できないもの(士業・コンサルなど)

です。

一般的にBtoBにブランディングが不要と言われることがありますが、BtoBのサービスには信頼財に当たるものが多く、「損失回避」の側面から見ても、例えばLTVの向上などブランディングによる効果が出やすいです。

ブランディングが不要ではなく、むしろ積極的に取り組むべきということがわかります。

平素に申し上げると、強いブランドが顧客の離脱を防ぐのです。そのためにも、「損失回避」を有効に使うためにブランディングしていくべきと考えます。

「損失回避」のデメリットとイノベーター理論

一方、弱いブランドにとっては、「損失回避」によってできる障壁から、何とかしてブランドスイッチを引き起こす必要があります。

ここで、イノベーター理論を取り上げます。

イノベーター理論は、5つの顧客タイプが存在し、それぞれにおいて取るべき戦略を変えることが推奨されています。詳しくは、また別途の記事で解説いたします。

その中でも、ブランドスイッチを引き起こす鍵として、最初はイノベーター・アーリーアダプターにあったブランド戦略を取るべきと考えます。

イノベーター理論の本質は、どのようにしてキャズムを飛び越えるか、またどのようにキャズム前後で取るコミュニケーションを変えるかという部分です。

情報のキャッチアップが早く、新たな事にチャレンジするイノベーターやアーリーアダプターには、機能的なブランドコミュニケーションを行い、キャズムの手前で情緒的なコミュニケーションに切り替える事によって、なるべく「損失回避」が少ない状態を形成しながら、キャズムを飛び越えることができます。

イノベーター理論でのブランドコミュニケーションでスイッチを狙う

はじめから、情緒的なアプローチのみでブランドコミュニケーションを行うと、イノベーター・アーリーアダプターには革新性を感じてもらえず、アーリーマジョリティ以降には、情緒的なブランドイメージが伝わっても、「損失回避」が発生し、なかなかブランドスイッチが発生しません。

先に機能的なブランドコミュニケーションを行う事によって、イノベーターを獲得しつつ、キャズム手前で情緒的アプローチを行う事によって、アーリーアダプターにとってブランド浸透が進んでいるため、「損失回避」のリスクが低減し、ブランドスイッチを引き起こしやすいです。

このように同様のブランドでも、ステージに適したコミュニケーションを行う事によって、「損失回避」のデメリットを最小限にすることが可能です。

まとめ

「損失回避」は持つものと持たざるものの差異がはっきり出る、極めて強力な優位性です。

自社のブランドを強くする事によって、心理的に「損失回避」を発生させることができるため、様々なステージで競争優位に立ちことができます。

一方、「損失回避」が競合に発生している場合は、うまくブランディングを行い、全体戦略でブランドスイッチを引き起こすことが重要です。