CI・VIのイメージ

企業の「らしさ」を一目で伝えるために欠かせないのが、CI(コーポレートアイデンティティ)とVI(ビジュアルアイデンティティ)です。ロゴ、カラー、タイポグラフィ、デザインシステム——これらは単なる装飾ではなく、企業の価値観や約束を視覚的に表現したものです。

本記事では、CIとVIの違い、構成要素、制作プロセスから成功事例、費用相場まで、CI/VI開発に必要な情報を体系的に解説します。ブランドの土台を築くための、最も基本的でありながら最も重要な取り組みを理解しましょう。

Contents

CIとVIの違い|それぞれの定義と役割

CIとVIの違い

CIとVIは混同されやすい概念ですが、カバーする範囲が異なります。

CI(コーポレートアイデンティティ)とは

CIは、企業が「自分たちは何者であるか」を社内外に統一的に表現するための体系です。企業の理念、ビジョン、行動指針といった言語的要素と、ロゴやカラーなどの視覚的要素を含む、包括的なアイデンティティシステムを指します。

CIは大きく3つの要素で構成されます。MI(マインドアイデンティティ)は企業理念や価値観、BI(ビヘイビアアイデンティティ)は行動規範や企業文化、そしてVI(ビジュアルアイデンティティ)は視覚的な表現体系です。つまり、VIはCIの一部に含まれる概念です。

VI(ビジュアルアイデンティティ)とは

VIは、CIの中で視覚的に表現される部分を指します。ロゴマーク、コーポレートカラー、指定書体(タイポグラフィ)、デザインパターン、写真のスタイルガイドなど、目に見えるすべてのブランド表現を統一するためのルール体系です。

VIが統一されている企業は、名刺、Webサイト、パンフレット、SNS、オフィス空間など、あらゆる接点で一貫したブランド体験を提供できます。この一貫性こそが、顧客や社会からの信頼を築く基盤になります。

関係性の整理

CIが「企業の人格そのもの」だとすれば、VIは「その人格が外見としてどう見えるか」を定義するものです。CIなきVIは根拠のないデザインになり、VIなきCIは伝わらない理念になります。両者は車の両輪のような関係です。

VIを構成する7つの要素

ビジュアルアイデンティティは複数の要素から成り立ちます。それぞれが連動して、ブランドの世界観を形成します。

要素①:ロゴマーク

ブランドの最も象徴的な視覚要素です。シンボルマーク(図形)とロゴタイプ(文字)の組み合わせが一般的で、使用するサイズ、背景色との組み合わせ、余白の取り方まで、細かくルールが定められます。

要素②:コーポレートカラー

プライマリーカラー(主要色)、セカンダリーカラー(補助色)、アクセントカラーを定めます。色にはそれぞれ心理的な効果があり、ブランドの性格を直感的に伝える役割を果たします。PANTONE、CMYK、RGB、HEXなど、使用環境ごとに正確な色指定を行います。

要素③:タイポグラフィ

タイポグラフィとデザイン

見出し、本文、キャプションなどに使用するフォントを統一します。フォントの選定はブランドの印象を大きく左右するため、「信頼感」を重視するならセリフ体、「先進性」を打ち出すならサンセリフ体など、ブランドの性格に合ったフォントを選定します。

要素④:写真・イラストのスタイル

ブランドのビジュアルコミュニケーションで使用する写真やイラストのトーン、アングル、被写体の選び方を定めます。人物を中心に撮るのか、空間を見せるのか、彩度は高いのか低いのか——こうしたルールを統一することで、どのメディアでも同じブランドの空気感を感じられるようになります。

要素⑤:グラフィックエレメント

ロゴ以外のデザイン要素(パターン、アイコン、区切り線、図形など)のルールを定めます。PowerPointのテンプレートや、SNSの投稿テンプレートにも応用されるため、実務レベルでの統一感を確保するために重要な要素です。

要素⑥:レイアウトルール

名刺、封筒、レターヘッド、パンフレット、Webサイトなど、各ツールにおける情報配置のルールを定めます。マージン(余白)の取り方、グリッドシステム、要素の優先順位を統一することで、制作物のクオリティが安定します。

要素⑦:ブランドガイドライン

上記すべてのルールをまとめたドキュメントが「ブランドガイドライン」です。社内外のクリエイターがブランドの表現を正しく行うための「取扱説明書」であり、VIの中核を成す成果物です。

CI/VI開発のプロセス|5つのステップ

CI/VI開発プロセス

CI/VIの開発は、以下の5ステップで進めるのが一般的です。

ステップ1:現状分析と課題の整理

既存のブランド資産を棚卸しし、現状の課題を明確にします。社内外のステークホルダーへのヒアリング、競合他社の分析、市場調査を通じて、ブランドの現在地を客観的に把握します。

ステップ2:ブランドコンセプトの策定

企業理念やビジョンを基に、ブランドが社会に対して約束する価値(ブランドプロミス)を言語化します。このステップが不十分だと、後のデザイン工程で方向性がブレるため、経営層を含めた合意形成が不可欠です。

ステップ3:デザインコンセプトの開発

ブランドコンセプトを視覚的にどう表現するかを検討します。ムードボードの作成、デザインの方向性の提案、複数案の比較検討を行い、最適な表現を決定します。

ステップ4:デザイン制作と展開

ロゴ、カラーパレット、タイポグラフィ、各種テンプレートなど、VIを構成するすべての要素をデザインします。名刺やWebサイト、SNSなど、実際の使用シーンに展開して整合性を検証します。

ステップ5:ブランドガイドラインの制作と浸透

すべてのルールをまとめたブランドガイドラインを制作し、社内への浸透を図ります。社員向けの説明会やワークショップを実施し、日常業務でブランドガイドラインが活用される仕組みを整えることが重要です。

CI/VIが企業にもたらす5つの効果

効果①:ブランド認知度の向上

視覚的な一貫性は、消費者の記憶に残りやすい印象を生みます。統一されたVIを持つ企業は、広告やWebサイト、SNSなど、どの接点でもブランドが認識されるため、認知度の向上に直結します。

効果②:信頼性と専門性の訴求

統一されたデザインは「きちんとした会社」という印象を与えます。特にBtoB企業においては、提案書や名刺のデザイン品質がそのまま企業の信頼性として評価されることも少なくありません。

効果③:制作コストの削減

ガイドラインが整備されていれば、新しい制作物を作るたびにゼロからデザインを考える必要がなくなります。テンプレートやルールに沿って制作するため、制作時間とコストを削減でき、外注時のクオリティコントロールも容易になります。

効果④:採用力の強化

採用力への効果

一貫したブランドイメージは、求職者に対して企業の魅力と価値観を明確に伝えます。特に若い世代は企業のビジュアル表現に敏感であり、洗練されたCI/VIは採用活動において大きなアドバンテージになります。

効果⑤:社内の一体感の醸成

CI/VIの開発プロセスに社員を巻き込むことで、企業の理念や価値観を再確認する機会が生まれます。完成したVIが日常的に使用されることで、「自分はこのブランドの一員である」という帰属意識が自然と醸成されます。

CI/VIの費用相場

CI/VIの費用相場と期間

費用の目安

CI/VI開発の費用は、プロジェクトの範囲と企業規模によって大きく異なります。中小企業向けのCI/VI開発で200万〜500万円、大企業やグループ全体の統一プロジェクトでは500万〜2,000万円以上が一般的です。ロゴ単体の制作と比較すると高額に感じますが、CI/VIは一度整備すれば5〜10年使える資産であり、長期的なコストパフォーマンスは非常に高いです。

開発期間の目安

標準的なCI/VIプロジェクトの期間は3〜6ヶ月です。現状分析に1ヶ月、コンセプト策定に1〜2ヶ月、デザイン制作に1〜2ヶ月、ガイドライン制作に1ヶ月程度が目安です。ただし、グローバル展開やグループ統一の場合は1年以上かかることもあります。

CI/VIを更新すべきタイミング

CI/VIは一度作ったら永遠にそのまま使い続けるものではありません。以下のようなタイミングで見直しを検討しましょう。

経営理念やビジョンが変わったとき、M&Aや組織再編が行われたとき、事業領域が大きく変化したとき、ターゲット顧客層が変わったとき、既存のVIが時代に合わなくなってきたとき——こうした転機は、CI/VIを再構築する絶好のタイミングです。

大切なのは「変えること」自体が目的にならないことです。なぜ変えるのか、変えることで何を実現したいのかを明確にしたうえで、戦略的にリブランディングを進めることが重要です。

よくある質問(FAQ)

CIとVIの違いは何ですか?

CI(コーポレートアイデンティティ)は企業の存在意義や価値観を包括的に表現する体系で、理念(MI)、行動(BI)、視覚(VI)の3要素から成ります。VI(ビジュアルアイデンティティ)はCIの一部で、ロゴ、カラー、タイポグラフィなど視覚的な表現ルールに特化した要素です。VIはCIに含まれる概念であり、CIはVIよりも広い範囲をカバーします。

CI/VI開発にはどのくらいの費用がかかりますか?

中小企業向けのCI/VI開発で200万〜500万円、大企業向けの包括的なプロジェクトでは500万〜2,000万円以上が一般的です。ロゴ単体の制作(5万〜100万円)と比較すると高額ですが、CI/VIはブランドの全接点に影響する資産であり、5〜10年使用できるため、長期的なコストパフォーマンスは高いです。

ブランドガイドラインには何を含めるべきですか?

ブランドガイドラインには、ロゴの使用規定(サイズ、余白、背景色との組み合わせ)、コーポレートカラーの指定値(PANTONE、CMYK、RGB、HEX)、タイポグラフィ(使用フォントと適用ルール)、写真・イラストのスタイルガイド、レイアウトルール、NGルール(やってはいけない使い方)を含めます。ブランドの理念やコンセプトも冒頭に記載し、デザインの背景にある考え方を共有します。

CI/VIはどのくらいの頻度で見直すべきですか?

一般的には5〜10年に一度の見直しが目安です。ただし、経営理念の変更、M&A、事業領域の大幅な変化、ターゲット層の変更などがあった場合は、そのタイミングで見直しを検討すべきです。定期的なブランド監査を行い、VIが現在の企業の姿を正しく表現しているかを確認することが重要です。

中小企業でもCI/VIの整備は必要ですか?

はい、むしろ中小企業こそCI/VIの整備が重要です。大企業と比べてブランドの接点が限られる分、一つひとつの接点での印象がより大きな影響を持ちます。名刺、Webサイト、提案書のデザインが統一されているだけで、企業としての信頼性が格段に高まります。フルスケールのCI/VI開発が難しい場合でも、ロゴとブランドカラー、基本的な使用ルールの整備から始めることを推奨します。

まとめ

CI/VIは、企業ブランディングの土台を支える最も基本的な取り組みです。企業の理念や価値観を視覚的に表現し、すべての接点で一貫したブランド体験を提供することで、認知度の向上、信頼性の確保、制作効率の改善、採用力の強化など、多方面に効果をもたらします。

CI/VIの整備は「投資」であり、一度構築すれば長期にわたってブランドの価値を守り続ける資産です。まだCI/VIが整備されていない企業や、既存のVIが現在の企業像と合わなくなってきた企業は、ぜひこの機会に見直しを検討してください。

株式会社レイロでは、CI/VIの開発からブランドガイドラインの制作まで、一貫したブランディング支援を提供しています。まずはお気軽にご相談ください。

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