ブランディングワークショップでホワイトボードを使うチーム

リソースが限られるスタートアップにとって、ブランディングに長い時間と予算をかけることは難しいのが現実です。しかし、ブランドの方向性を早期に定めることは、事業の成長スピードに直結します。

本記事で紹介するブランディングワークショップは、シリコンバレーのスタートアップ支援で実際に活用されている手法をベースにしたものです。90分のセッションを2日間実施するだけで、自社ブランドのコア属性を明確化できます。株式会社レイロでもこのワークショップ手法を取り入れ、数多くのスタートアップのブランド構築を支援してきました。

Day1では、ブランドの価値と属性を洗い出すブレインストーミングから、属性の分類・絞り込みまでを行います。

Contents

ブランディングワークショップとは何か

クリエイティブなワークスペースでの協働作業

ブランディングワークショップとは、チームメンバーが集まり、自社ブランドの核となる要素を対話的に定義していく構造化されたセッションのことです。

多くの人はブランディングと聞くとロゴやデザインを思い浮かべますが、ブランドの本質はそれだけではありません。ブランドとは、顧客が企業やサービスに対して抱く総合的な印象であり、色・形・言葉・音・体験などあらゆる要素の集合体です。バージンアメリカの「遊び心と革新性」、ホンダの「技術と信頼性」、イケアの「手頃さとデザイン性」のように、優れたブランドには明確な属性があります。

ブランディングワークショップの目的は、こうしたブランド属性を参加者全員の知見を活かして言語化し、共通認識を形成することにあります。外部のブランディング会社に完全に委託するのではなく、社内メンバーが主体的にブランドを定義するプロセスが、後の実行段階での一体感を生みます。

ワークショップの参加者は、経営者・マーケティング担当・営業・プロダクト開発など、多様な部門から5〜8名程度を集めるのが理想的です。異なる視点を取り入れることで、偏りのないブランド像を描くことができます。

Day1のゴールと全体の流れ

ワークショップDay1のゴール設定を行うチーム

ブランディングワークショップDay1の目標は、自社ブランドに関連する属性を幅広く洗い出し、そこから本質的なものを選別することです。

Day1のタイムライン(90分)

時間 内容
0〜10分 イントロダクション・ルール説明
10〜40分 ブランド属性のブレインストーミング
40〜60分 属性の分類と絞り込み
60〜80分 ディスカッションと合意形成
80〜90分 Day2に向けた宿題共有

重要なのは、この段階では「正解」を求めないことです。まずは量を重視してアイデアを出し切り、その後で質の選別に移ります。株式会社レイロがワークショップを実施する際も、最初の発散フェーズでは批判を一切禁止するルールを徹底しています。

ブランドパーソナリティの考え方を事前に共有しておくと、ワークショップの質がさらに向上します。

ステップ1:ブランド属性のブレインストーミング

付箋を使ったブレインストーミングの様子

最初のステップは、自社ブランドに関連する価値や属性を可能な限り多く書き出すブレインストーミングです。

準備するもの
– 大きなホワイトボードまたは模造紙
– 付箋(1人につき20枚以上)
– マーカーペン

進め方

まず、参加者全員に5分間の個人ワークの時間を設けます。「自社ブランドを一言で表すとしたら?」「顧客にどんな印象を持ってほしいか?」「競合と何が違うか?」といった問いに対して、一枚の付箋に一つの単語やフレーズを書いていきます。

次に、一人ずつ自分の付箋をホワイトボードに貼りながら説明します。他の参加者は質問や関連するアイデアがあれば、新しい付箋を追加します。

このフェーズで出てくる属性の例としては、「革新的」「信頼できる」「親しみやすい」「専門的」「スピーディー」「温かい」「先進的」「誠実」「楽しい」「シンプル」などが挙げられます。

ここで重要なのは、ブレインストーミングの4つのルールを守ることです。批判禁止、自由奔放、質より量、結合・便乗歓迎の原則を全員で共有しておきましょう。

ブランドの差別化戦略について事前に考えておくと、より深い議論が生まれます。

ステップ2:属性の分類と絞り込み

整理されたカードとメモによる分析作業

ブレインストーミングで出た属性を、「自社ブランドに属するもの」と「属さないもの」の2つに分類します。この作業がDay1の核心部分です。

分類の基準

ホワイトボードの中央に線を引き、左側を「IN(自社ブランドに属する)」、右側を「OUT(自社ブランドに属さない)」とします。

一つずつ付箋を取り上げ、参加者全員で議論しながら分類していきます。判断に迷うものは、いったん中央の「保留ゾーン」に置いても構いません。

このプロセスでは、「なぜこの属性が自社に合うのか」「なぜ合わないのか」を言語化することが大切です。理由を明確にすることで、ブランドの本質が見えてきます。

例えば、「高級感」という属性について議論する場合、「自社のサービスは手頃な価格帯で提供したいから、高級感よりも”手の届きやすさ”が適切だ」というように、ブランドの方向性が自然と定まっていきます。

OUTに分類された属性も決して無駄ではありません。「自社ブランドが目指さないもの」を明確にすることも、ブランディングにおいて極めて重要な判断基準となります。ブランドコンセプトの策定にも、このOUT属性の整理が活きてきます。

ディスカッションと合意形成のポイント

分類作業の後、INに残った属性について優先順位をつけるディスカッションを行います。

ドット投票法を活用するのが効果的です。各参加者に3〜5個のシールやドットを配り、最も重要だと思う属性に投票します。投票結果を集計すると、チーム全体として重視する属性の傾向が可視化されます。

ディスカッションでは以下の問いを活用します。

  • この属性は競合との差別化につながるか?
  • この属性を顧客は実際に感じ取れるか?
  • この属性を全社的に一貫して実現できるか?
  • 5年後もこの属性は有効か?

合意形成が難しい場合は、無理にまとめようとせず、論点を記録してDay2に持ち越します。株式会社レイロのワークショップでは、意見の対立は「ブランドへの多面的な理解」として歓迎する文化を大切にしています。

最終的に、INの属性を5〜7個程度に絞り込み、Day2の出発点とします。ブランド価値の維持という観点からも、属性を厳選することは重要です。

Day2に向けた準備と宿題

次のステップへ向けた計画を立てるチーム

Day1の最後に、Day2に向けた宿題を参加者全員に共有します。

宿題の内容

  1. 顧客インタビューの振り返り:既存顧客が自社をどのような言葉で説明しているか、過去のフィードバックやレビューから拾い上げる
  2. 競合ブランドの属性分析:主要競合3社のブランド属性を、同じフレームワークで分析する
  3. ブランドムードボード作成:Day1で選んだ属性を視覚的に表現する画像や色を5〜10点集める
  4. エレベーターピッチの素案:自社ブランドを30秒で説明するスクリプトのドラフトを作成する

この宿題を通じて、参加者はDay1の議論を個人で深く掘り下げ、Day2でより具体的な議論ができる状態で臨むことができます。

Day2では、絞り込んだ属性をもとにブランドパーソナリティを定義し、ビジュアル・言語表現への落とし込みを行います。

まとめ

ブランディングワークショップは、チーム全体でブランドの方向性を共有し、一体感を持って実行に移すための強力な手法です。Day1のブレインストーミングと分類作業を通じて、自社ブランドの核となる属性を言語化する第一歩を踏み出すことができます。

ポイントは、完璧を目指さないこと、多様な視点を歓迎すること、そしてプロセスそのものをチームビルディングの機会として活用することです。

ブランディングワークショップの企画・ファシリテーションにお困りの方は、専門家のサポートを活用することで、より質の高いアウトプットを得ることができます。

よくある質問

ブランディングワークショップには何人くらいで参加するのが理想ですか?

5〜8名が理想的です。経営者、マーケティング、営業、開発など異なる部門のメンバーを集めることで、多角的なブランド像を描くことができます。人数が多すぎると議論が散漫になり、少なすぎると視点が偏る傾向があります。

ブランディングワークショップは外部ファシリテーターが必要ですか?

社内メンバーだけでも実施可能ですが、外部ファシリテーターを入れることで、社内の利害関係にとらわれない中立的な進行が可能になります。特に初めてワークショップを実施する場合は、専門家のサポートを受けることをお勧めします。

ブレインストーミングでアイデアが出にくい場合はどうすればいいですか?

事前に「ブランドを人に例えるとどんな性格か?」「自社がなくなったら誰が困るか?」といった発想を促す質問リストを用意しておくと効果的です。また、競合ブランドの事例を参考に出すことで、議論のきっかけが生まれやすくなります。

スタートアップ以外の企業でもこのワークショップは使えますか?

はい、中堅・大企業のリブランディングプロジェクトでも広く活用されています。既存のブランド認知を踏まえた上で実施するため、スタートアップとは議論の出発点が異なりますが、基本的な進め方は同じです。

ワークショップの成果をどのようにブランド戦略に反映させますか?

Day1・Day2で定義したブランド属性とパーソナリティをもとに、ブランドガイドラインを作成します。このガイドラインがロゴ、カラー、トーン&マナー、顧客コミュニケーションなど、すべてのブランド施策の基準となります。

ブランディングのご相談は株式会社レイロへ

ブランディングワークショップの企画・実施から、その後のブランド戦略の策定・実行まで、株式会社レイロがトータルでサポートいたします。

「チームでブランドの方向性を揃えたい」「限られたリソースで効果的なブランディングを始めたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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