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会社案内・パンフレット制作費用の相場【2026年版】30万〜300万円の内訳・依頼先別比較と制作会社の選び方

会社案内・企業パンフレット制作費用の相場を2026年版で解説。30万〜300万円のページ数別・依頼先別の内訳、デザイン費と印刷費の分け方、部数別の印刷単価、見積書の見方と制作会社の選び方まで発注担当者向けに整理。

会社案内・企業パンフレット制作の費用と見積の考え方

監修:株式会社レイロ ブランディングディレクター

ブランド設計の支援実績200件以上。会社案内・入社案内・ブランドブックなど企業ツールの企画・編集・デザインを一貫して支援。本記事の相場観は、実際の見積・受注の実務レンジをもとに整理しています。

📌 この記事のポイント

  • 会社案内の制作費用は30万〜300万円が実務上のレンジ。簡易な8ページなら30万〜60万円、標準的な12〜16ページで60万〜150万円、ブランド設計や撮影を伴う本格版で150万〜300万円。大企業・多言語・撮影フルの案件では300万円を超えることもあります。
  • 見積書は「デザイン費」と「印刷費」を必ず分けて読む。デザイン費はページ数と工数で決まる固定費、印刷費は部数で単価が逓減する変動費です。この2つを合算した総額だけで会社を比較すると、判断を誤ります。
  • 費用を最も大きく動かすのは撮影の有無と取材本数。人物・工場・製品のオリジナル撮影を入れると1日あたり15万〜40万円、社員インタビューは1本3万〜8万円が目安で、ここだけで総額が数十万円変わります。
  • 印刷費は部数で単価が大きく下がる。16ページ・A4・4色の場合、500部なら1部あたり300〜500円、3,000部なら100〜150円程度が目安。少部数を毎年刷り直すより、内容の陳腐化しない構成で部数をまとめたほうが総コストは下がります。
  • 目的が混ざった会社案内は費用対効果が落ちる。営業用・採用用・IR用は載せるべき情報も設計も違います。1冊にすべて詰め込むより、共通の土台を作って用途別に分けるほうが、結果的に効きます。

「会社案内を作り直したいが、いくらかかるのか見当がつかない」——経営者や広報・人事のご担当者から、最も多くいただくご相談のひとつです。実際にWebで検索すると「10万円から」と書かれた印刷通販もあれば、「200万円から」と書かれた制作会社もあり、混乱するのも無理はありません。

この差が生まれる理由ははっきりしています。「会社案内制作」という言葉が指す作業範囲が、会社によってまったく違うからです。支給された原稿と写真を流し込んでレイアウトするだけの作業もあれば、経営陣への取材、事業の再整理、撮影、図版制作、コピーライティング、印刷手配までを含む場合もあります。前者と後者では、かかる工数が5倍以上違います。

この記事では、ページ数と依頼先のマトリクスで見た相場、費用の内訳、印刷費とデザイン費の分け方、そして見積書のどこを見れば妥当性が判断できるかを、発注実務の目線で整理しました。なお、社内外にブランドの規範を示すブランドブックの制作費用や、コーポレートサイトの制作費用とは費用構造が異なるため、そちらは別記事をご覧ください。

1. 会社案内・パンフレット制作費用の相場【全体像】

まず全体像です。会社案内の費用は「ページ数」と「どこに頼むか」の掛け算でおおよそ決まります。以下は印刷費を除いた企画・取材・デザイン・DTPまでの制作費の目安です。

ページ数 フリーランス 中小制作会社 ブランディング会社 広告代理店
8ページ(A4二つ折り〜) 10万〜25万円 30万〜60万円 60万〜100万円 80万〜150万円
12ページ 15万〜35万円 45万〜90万円 90万〜150万円 120万〜200万円
16ページ 20万〜45万円 60万〜120万円 120万〜200万円 150万〜280万円
24ページ以上 30万〜70万円 90万〜180万円 180万〜300万円 250万〜400万円

この表を見ると、同じ16ページでも20万円と280万円という10倍以上の開きがあります。差額の中身は「デザインの上手さ」ではなく、上流工程をどこまで含むかです。

4つの価格帯で整理する

依頼内容を軸に整理すると、次の4段階に分かれます。

価格帯 想定内容 期間
30万〜60万円 簡易版8ページ。原稿・写真は自社支給、デザインとDTPのみ 1〜1.5ヶ月
60万〜150万円 標準版12〜16ページ。構成企画+取材ライティング+一部撮影 2〜3ヶ月
150万〜300万円 本格版。ブランドメッセージ設計+全面撮影+図版制作+16〜24ページ 3〜4ヶ月
300万円〜 大企業向け。多言語版、複数拠点撮影、IR要素、動画連携など 4〜6ヶ月

「思ったより高い」と感じるか「妥当だ」と感じるかを分けるのは、会社案内を印刷物として見るか、営業と採用のインフラとして見るかという前提の違いです。年間で500社に配る営業ツールなら、1社あたりの単価は数百円。その視点で見ると、判断の基準は変わってきます。

会社案内とブランドブックは別物

混同されがちですが、この2つは目的も費用構造も違います。

会社案内・パンフレット ブランドブック
主な読み手 取引先、求職者、投資家など社外 社員・関係者が中心(社外にも展開)
目的 会社を「知ってもらう・選んでもらう」 ブランドの考え方を「揃える・守る」
中身 事業内容、実績、数字、社員、沿革 理念、価値観、行動指針、表現ルール
更新頻度 3〜5年(数字は毎年差し替え) 5〜10年(頻繁には変えない)

会社案内の内容に説得力を持たせたい場合、その手前でブランドの言語が整理されているかどうかが効いてきます。詳しくはブランドブックの作り方で解説しています。

企業パンフレットの構成を検討する打ち合わせ

2. 費用の内訳を項目別に分解する

見積書の総額だけを見比べても、高いか安いかは判断できません。重要なのはどの工程にいくら計上されているかです。会社案内の費用を工程ごとに分解すると、次のようになります。

工程項目 費用目安 含まれる作業
ディレクション・進行管理 総額の15〜20% 要件整理、スケジュール管理、社内調整、印刷会社との折衝
企画・構成設計 10万〜50万円 目的整理、ターゲット設定、台割(ページ構成)作成、訴求ストーリー設計
取材・ライティング 1本3万〜8万円 経営者・社員インタビュー、原稿執筆、監修対応
撮影(人物・製品・工場) 1日15万〜40万円 カメラマン、アシスタント、機材、レタッチ、交通費
デザイン(表紙) 5万〜20万円 表紙・裏表紙のデザイン開発、複数案提案
デザイン(本文) 1ページ1.5万〜5万円 本文レイアウト、フォーマット設計、写真配置
図版・インフォグラフィック 1点1万〜8万円 事業構造図、数字のグラフ化、地図、沿革年表
イラスト制作 1点1万〜10万円 オリジナルイラスト、キャラクター、概念図
DTP・入稿データ作成 1ページ5,000〜1.5万円 文字組み調整、色校正対応、印刷用データ書き出し
印刷・製本 部数により変動 用紙、印刷、折り、綴じ、加工

「デザイン費」と「印刷費」は必ず分けて考える

ここが会社案内の見積で最も誤解が生まれるポイントです。この2つはコストの性質がまったく違います。

デザイン費は「固定費」です。ページ数と作業内容で決まり、500部作ろうと5,000部作ろうと金額は変わりません。16ページのデザインが80万円なら、部数に関係なく80万円です。

印刷費は「変動費」です。部数が増えるほど1部あたりの単価は下がります。印刷は版を作る初期コストが大きいため、少部数だと単価が跳ね上がり、部数が増えるほど紙代と機械時間の比率が高まって単価が落ち着きます。

したがって、A社「総額120万円」とB社「総額150万円」を単純比較しても意味がありません。A社が500部でB社が3,000部の想定なら、実際にはB社のほうがデザイン費は安い、ということが普通に起こります。相見積もりを取るときは、必ず部数・用紙・加工の条件を揃えて依頼してください。

見積書に「一式」が多い会社は要注意

「会社案内制作一式 100万円」とだけ書かれた見積書は、比較も交渉もできません。少なくとも、企画・取材・撮影・デザイン・DTP・印刷の6区分に分かれているかは確認しましょう。この見方はロゴデザインの費用相場ブランディング費用の相場にも共通します。

修正回数の設定が総額を左右する

見積書に「修正2回まで」と書かれているか、無制限なのか。ここは必ず確認すべき項目です。会社案内は社内の確認者が多く、役員・現場・人事から異なる意見が出て修正が膨らみがちです。3回目以降が1回10万円の追加、というケースも珍しくありません。誰が最終決定するかを最初に決めておくことが、結果的に最大のコスト削減になります。

3. 依頼先別の比較:どこに頼むべきか

会社案内の依頼先は大きく5種類あります。それぞれ得意領域と価格帯が異なります。

依頼先 費用感 メリット デメリット
フリーランス 10万〜70万円 単価が安い、小回りが利く、直接やり取りできる 撮影・取材・印刷手配は別途手配が必要。品質のばらつきが大きい
印刷会社 20万〜80万円 印刷込みで安い、入稿トラブルが起きにくい 企画・構成の提案力は限定的。デザインは既存フォーマット寄りになりがち
制作会社(デザイン事務所) 45万〜180万円 企画からデザインまで一貫。撮影・ライターの手配も可能 会社によって得意分野が偏る。ブランド戦略までは踏み込まないことも
ブランディング会社 60万〜300万円 何を伝えるかの設計から関与。他ツールとの一貫性を担保できる 単発の印刷物だけを安く作りたい場合は割高
広告代理店 80万〜400万円 大規模案件・多拠点・多言語に対応。窓口が一本化される 中間マージンが乗る。実制作は下請けの制作会社が担当することが多い

「安く頼む」と「安く済む」は別物

フリーランスに20万円で依頼したものの、原稿がまとまらず社内で何度も書き直し、写真も足りず、結局撮影を別途手配して総額が60万円を超えた——という話は頻繁に起こります。会社案内は原稿と写真という素材の準備が総工数の半分以上を占めるため、そこを誰が担うかで実質コストは大きく変わります。

判断基準はシンプルです。社内に編集できる人がいるならフリーランスや印刷会社で十分。いないなら、企画と取材を含めて任せられる制作会社を選ぶほうが、最終的な費用も時間も抑えられます。

依頼先は「会社案内の役割の重さ」で決める

年に数十部を配る名刺代わりのツールなら、印刷会社のフォーマットで問題ありません。一方、新規開拓の商談で必ず渡す、採用の母集団形成に使う、という位置づけなら、伝える内容の設計から関われる相手を選ぶ価値があります。特に無形商材のBtoB企業では、会社案内が信頼形成の主要な接点になるため、BtoBブランディングの観点を踏まえた設計が効いてきます。

印刷物のデザインカンプを確認する様子

会社案内の予算感がつかめず、社内で話が進んでいませんか?

レイロはブランド戦略から、会社案内・入社案内・ブランドブック・Webサイトまでを一貫支援。予算に合わせた構成のご提案も可能です。方向性の相談だけのご連絡も歓迎です。

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4. 費用が上下する7つの変動要因

同じ「16ページの会社案内」でも、金額が倍以上変わることがあります。何が効いているのかを整理します。

変動要因 費用への影響 判断のポイント
ページ数 1ページ増ごとに2万〜6万円 8P→16Pで概ね1.6〜1.8倍。倍にはならない
撮影の有無 1日あたり15万〜40万円 社員が写る採用寄りの内容なら撮影必須
取材本数 1本3万〜8万円 社員インタビュー4本で12万〜32万円
図版・イラスト点数 1点1万〜8万円 事業構造図・数値グラフが多いと積み上がる
印刷部数 単価が数倍変動 500部と3,000部では1部単価が3倍以上違う
用紙・加工グレード 印刷費の10〜60%増 特殊紙、PP加工、箔押し、型抜きなど
多言語対応 1言語あたり20万〜60万円 翻訳+ネイティブチェック+レイアウト再調整

ページ数は「増えても比例では増えない」

8ページから16ページに倍増しても、費用が倍になるわけではありません。表紙デザインやフォーマット設計といった初期設計の工数は共通だからです。実務上は1.6〜1.8倍程度に収まることが多く、将来的に情報を足したいなら、最初から少し多めのページ数で設計しておくほうが、後から増刷・改訂するより効率的です。

撮影は最も費用対効果の判断が分かれる項目

写真素材(ストックフォト)で済ませれば数千円ですが、自社の社員や設備が写っていない会社案内は、読み手に「どこの会社でも言えること」という印象を与えます。特に採用用途では、実在の社員が登場するかどうかが応募動機に直結します。採用ブランディングを意識するなら、撮影費は削るべきでない項目です。

修正回数は隠れた変動要因

見積の表には現れませんが、実務で最も総額を押し上げるのが修正の往復です。役員全員に個別に確認を取る進め方だと、修正が5回、6回と重なります。確認は2段階(担当者レベル→決裁者レベル)に絞ると決めておくだけで、追加費用も納期遅延も大きく減らせます。

5. 印刷費の考え方と部数別の単価

デザイン費とは別に、印刷費をどう見積もるかを整理します。以下はA4サイズ・16ページ・4色刷り・中綴じ・一般的なコート紙の場合の目安です。

部数 印刷費総額の目安 1部あたり単価 適した印刷方式
500部 15万〜25万円 300〜500円 オンデマンド or 軽オフセット
1,000部 20万〜32万円 200〜320円 オフセット
3,000部 30万〜45万円 100〜150円 オフセット
5,000部 40万〜60万円 80〜120円 オフセット

※用紙・加工・地域・時期により変動します。上記は目安としてご覧ください。

少部数ならオンデマンド、多部数ならオフセット

印刷方式の判断軸はシンプルです。おおむね500〜800部が損益分岐点になります。

  • オンデマンド印刷:版を作らないため初期費用がかからず、少部数でも単価が跳ね上がりません。100部・300部といった小ロットや、内容を頻繁に更新する場合に向いています。ただし部数を増やしても単価はほとんど下がりません。
  • オフセット印刷:版を作るため初期費用が発生しますが、刷るほど単価が下がります。1,000部以上ならこちらが圧倒的に有利で、色の再現性や紙の選択肢も広がります。

用紙と加工でどれくらい変わるか

グレード 内容 印刷費への影響
標準 コート紙・マットコート紙、中綴じ 基準(±0%)
中位 上質紙・微塗工紙、表紙PP加工 +10〜25%
上位 特殊紙、表紙厚紙、無線綴じ +25〜50%
最上位 箔押し、エンボス、型抜き、特色使用 +50〜150%

会社案内は「手に取ったときの質感」が印象を左右するツールです。とはいえ、加工を盛れば良いというものでもありません。表紙だけグレードを上げて本文は標準にするという配分が、費用対効果の面では最も現実的です。この考え方はブランドガイドラインで紙質や色の基準を決めておくと、以後の制作物でもぶれなくなります。

印刷会社での色校正チェック

6. 目的別の設計:営業用・採用用・IR用・展示会用

会社案内の失敗で最も多いのが、目的が混ざった結果、誰にも刺さらない冊子ができるというパターンです。用途ごとに求められる情報はまったく違います。

用途 主な読み手 中心に置くべき情報 ページ数目安 費用目安
営業用 見込み顧客、取引先 課題解決の実績、対応領域、体制、導入事例 8〜16P 40万〜150万円
採用用(入社案内) 求職者、学生、保護者 社員の姿、仕事の中身、育成、働く環境、数字 12〜24P 80万〜250万円
IR・株主向け 投資家、金融機関 財務、成長戦略、ガバナンス、中期計画 16〜32P 120万〜300万円
展示会用 来場者(初見) 一目でわかる強み、製品スペック、連絡導線 4〜8P 25万〜70万円

目的が混ざると何が起きるか

「営業でも採用でも使いたい」という要望はよくいただきます。しかし実際に1冊にまとめると、営業先には社員の私生活の話が余計に映り、求職者には事業の細かいスペックが響かない、という状態になります。結果としてどちらの現場でも配られなくなるのが最悪のパターンです。

現実的な解決策は2つあります。

  1. 共通ページ+差し替えページで構成する。会社概要・理念・沿革といった共通部分を固定フォーマットにし、後半を用途別に差し替える。追加コストは1バージョンあたり15万〜40万円程度で済みます。
  2. 本編+インサート方式にする。標準の会社案内に、用途別のA4差し込み1枚を組み合わせる。最も安価で、情報更新にも強い方法です。

いずれにせよ、その手前で「自社は何を約束する会社か」が言語化されている必要があります。ここが曖昧なまま制作に入ると、どのページも一般論になります。詳しくはブランドストーリーの作り方と事例を参考にしてください。

中小企業ほど「絞る」ほうが効く

事業を網羅的に並べるより、主力領域を明確に打ち出したほうが記憶に残ります。中小企業のブランディングでも触れているとおり、情報量と説得力は比例しません。

7. 制作の進め方とスケジュール

会社案内の制作は、着手から納品まで2〜4ヶ月が標準です。撮影と取材が入る場合は3ヶ月以上を見ておくと安全です。

工程 期間 主な作業 発注側のタスク
① 要件整理・オリエン 1〜2週 目的・ターゲット・予算・部数の確定 社内の目的合意、決裁者の確認
② 構成企画・台割作成 2〜3週 ページ構成案、訴求ストーリー設計 台割の承認、掲載情報の洗い出し
③ 取材・撮影 2〜4週 インタビュー、人物・製品・拠点撮影 出演者調整、撮影場所の確保
④ 原稿執筆・確認 3〜4週 ライティング、社内確認、事実確認 数値・実績の裏取り、法務確認
⑤ デザイン・レイアウト 3〜5週 表紙・本文デザイン、図版制作 2段階での確認(担当→決裁)
⑥ 校正・入稿 2〜3週 文字校正、色校正、印刷データ作成 最終校了の判断
⑦ 印刷・製本・納品 2〜3週 印刷、加工、製本、配送 納品先・分納の指定

最も詰まるのは「④原稿確認」

経験上、スケジュール遅延の8割は原稿確認のフェーズで発生します。事業部門への確認、数値の裏取り、法務チェックが並行して走るため、社内で1ヶ月以上止まることも珍しくありません。②の台割承認の段階で、誰がどの情報を出すかを決めておくことが最大の遅延防止策です。

逆算スケジュールの立て方

展示会や新卒採用の説明会など、使用日が決まっている場合は、その日から逆算します。納品には印刷・製本で最低2週間かかるため、使用日の3.5〜4ヶ月前に着手するのが安全ラインです。発注前に条件を整理しておきたい場合は、ブランディングのRFPの書き方の考え方が会社案内の発注にもそのまま応用できます。

制作スケジュールを確認するチーム

8. 費用を抑える5つの現実的な方法

予算に限りがある場合、どこを削れば影響が小さいか。実務的に効果のある順に挙げます。

(1)ページ数を減らして、紙質を上げる
16ページを12ページに減らせば制作費は2〜3割下がります。その分を表紙の紙や加工に回したほうが、手に取ったときの印象は良くなります。ページ数と品質感は比例しません。

(2)撮影を1日に集約する
拠点をまたぐ撮影は移動費と拘束時間が積み上がります。可能な限り1日に集約し、人物・製品・オフィスをまとめて撮影すると、2日分の費用が1日で収まります。

(3)原稿の素材を自社で用意する
完成原稿でなくて構いません。箇条書きのメモ、既存資料、過去のプレスリリースなどをまとめて渡すだけで、ライティング工数は2〜3割減ります。ゼロから聞き取るのと、素材を整理するのでは工数がまったく違うためです。

(4)部数をまとめて刷る
1,000部を年2回刷るより、2,000部を一度に刷るほうが総額は安くなります。ただし社名・所在地・数字が変わる予定がある場合は逆効果なので、内容の陳腐化リスクと天秤にかけてください。

(5)他ツールと同時発注する
会社案内とWebサイト、名刺、封筒などを同時に依頼すると、デザインの土台を共有できるため、それぞれ個別に発注するより2〜3割安くなることがあります。トーンの一貫性も担保できるので、CI/VI開発の費用相場とあわせて検討すると効率的です。

やってはいけない削り方

一方で、削ると失敗しやすい項目もあります。

削ってはいけない項目 理由
構成企画・台割設計 ここを飛ばすと後半で作り直しになり、結果的に高くつく
社員・現場の撮影(採用用途) ストックフォトの会社案内は、求職者に一瞬で見抜かれる
校正・色校正 誤字や色ズレのまま数千部を刷ると、刷り直しで全額が無駄になる
ディレクション費 進行管理を削ると社内負荷に転嫁されるだけで、総コストは下がらない

9. 制作会社の選び方【チェックリスト7項目】

最後に、見積書を前にして判断するための具体的な観点です。

# 確認項目 見るべきポイント
1 自社と近い業種・規模の実績があるか BtoB製造業とD2Cでは、必要な設計がまったく違う
2 見積が工程別に分かれているか 「一式」表記が多い会社は比較も交渉もできない
3 修正回数と追加費用の条件が明記されているか 「〇回まで」「以降1回◯万円」の記載があるか
4 撮影・取材・印刷の手配範囲が明確か どこまで自社対応が必要かを事前に確定させる
5 印刷費とデザイン費が分離されているか 分離されていないと他社と条件を揃えて比較できない
6 納品データの範囲と再利用の可否 入稿データ(.ai/.indd)をもらえるか、増刷時の費用は
7 担当ディレクターと直接話せるか 営業だけが窓口だと、意図が制作に伝わらない

相見積もりの取り方

3社程度が適正です。それ以上は比較検討の工数が費用対効果に見合いません。重要なのは全社に同一条件を提示することです。

  • ページ数(例:A4・16ページ・中綴じ)
  • 部数(例:1,000部)
  • 用紙グレードの想定(例:標準的なコート紙、表紙のみPP加工)
  • 撮影の有無と拠点数
  • 取材本数
  • 支給素材の範囲(ロゴデータ、既存写真、既存原稿の有無)
  • 希望納品日

この条件を1枚のシートにまとめて配布すれば、返ってくる見積が比較可能な形になります。逆に「会社案内を作りたいので見積をください」だけで依頼すると、各社が勝手に前提を置くため、金額差の理由がわからなくなります。制作会社の見極め方全般についてはブランディング会社の選び方もあわせてご覧ください。

極端に安い見積が意味すること

相場の半額以下の見積が出てきた場合、その多くは次のいずれかです。

  1. テンプレートへの流し込み前提。構成企画が含まれておらず、既存フォーマットに原稿を入れるだけ。
  2. 原稿・写真が全面支給前提。素材準備の負荷がすべて発注側に来る。
  3. 修正回数が極端に少ない。2回目以降が高額な追加請求になる。
  4. 印刷費が別枠。総額を安く見せるため、印刷費が見積に入っていない。

いずれも「悪い」わけではありません。社内に編集リソースがあるなら1と2は合理的な選択です。問題は、その前提を理解せずに安さだけで選んでしまうことです。

完成した企業パンフレットを手に取る場面

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10. よくある質問

Q. 相場より極端に安い見積を見分けるにはどうすればいいですか?

A. まず、見積書に「印刷費」が含まれているかを確認してください。総額を安く見せるために印刷費を別枠にしているケースが最も多いパターンです。次に、企画・構成設計の項目があるか。ここが計上されていない場合、既存テンプレートへの流し込みである可能性が高くなります。3点目は修正回数の記載です。「修正1回まで」となっていれば、実務上ほぼ確実に追加費用が発生します。そして4点目が、原稿と写真の支給範囲。「素材はすべて支給」という前提なら、その準備工数は自社が負担することになります。これらを確認したうえで、それでも安いのであれば、単純に固定費が低い体制で運営している会社という可能性もあります。安さ自体が問題なのではなく、前提を理解せずに選ぶことが問題です。

Q. 原稿を自社で用意すれば費用は安くなりますか?

A. 安くなります。目安として、取材・ライティング費が丸ごと不要になれば、1本3万〜8万円×本数分が削減できます。16ページの会社案内で社員インタビュー4本を含む場合、12万〜32万円の差になります。ただし注意点があります。「原稿を用意する」というのは、誤字がなく、文字数が指定どおりで、そのまま印刷できる完成原稿を指します。実際には社内で書いた原稿が長すぎたり短すぎたりして、結局編集作業が発生することが多いのが実情です。現実的な折衷案は、箇条書きレベルの素材と既存資料を提供して「編集・リライト」として依頼する方法で、この場合でも1本あたり1.5万〜4万円程度に抑えられることが一般的です。

Q. 写真はストックフォトの素材で済ませても問題ないですか?

A. 用途によります。営業用で、事業内容や実績が主役の会社案内であれば、イメージカットにストックフォトを使うこと自体は問題ありません。むしろ製品写真や実績データにコストを配分するほうが効果的です。一方、採用用途では推奨しません。求職者は複数社の入社案内を並べて比較しており、実在の社員が登場しない冊子は「自社を見せられない会社」という印象を与えます。実際、採用パンフレットで最も読まれるのは社員紹介ページです。予算が限られる場合の折衷案として、社員撮影は半日に絞り、オフィスや街の風景カットはストックフォトで補うという配分が現実的です。撮影費を半日15万円前後に抑えつつ、最も重要な要素は自社のもので固められます。

Q. 印刷せずPDF版だけで足りるのではないですか?

A. 併用が最適解です。PDF版はメール添付やWebでの配布に有効で、更新も容易なため、用意しない理由はありません。ただし、印刷物を完全に廃止するかは商談の形態次第です。対面の商談や展示会、採用説明会では、手渡せる冊子があるかどうかで会話の残り方が変わります。特に決裁者が複数いる企業では、紙の資料が社内で回覧されるという副次効果もあります。現実的な運用としては、印刷部数を従来の半分に絞り、PDF版とWebページを整備する形が増えています。なお、PDF専用に作る場合は横位置レイアウトのほうが画面で読みやすく、印刷版とは別設計が必要になる点は考慮してください。Web側の整備については、コーポレートサイトの制作費用の記事もあわせてご覧ください。

Q. 会社案内は何年で作り替えるべきですか?

A. 全面改訂は3〜5年、部分更新は毎年、というのが実務的な目安です。全面改訂のタイミングとしては、事業内容が大きく変わったとき、経営体制やビジョンが変わったとき、採用ターゲットが変わったとき、そして「デザインが古く見える」と社内で言われ始めたときが該当します。一方、売上高・従業員数・拠点数・取引社数といった数字は毎年変わるため、これらは差し替えやすい形で設計しておくのが賢明です。具体的には、数字を1ページに集約する、あるいは別紙のインサートにしておくと、本編を刷り直さずに更新できます。この設計を最初にしておくかどうかで、5年間の総コストは大きく変わります。リブランディングを伴う場合は、費用構造そのものが変わるため、別途検討が必要です。

まとめ:金額の妥当性は「総額」ではなく「範囲」で決まる

会社案内の制作費用は30万〜300万円と幅がありますが、この幅は品質の差ではなく、作業範囲の差です。8ページの流し込みデザインと、取材・撮影・図版制作を含む16ページの本格版が同じ金額になるはずがありません。

判断の順番は次のとおりです。

  1. 目的を1つに絞る(営業用か採用用か)。混ぜると効果が落ちます。
  2. ページ数と部数を決める。これが決まらないと見積は比較できません。
  3. 素材の準備範囲を決める。原稿と写真を誰が用意するかで、費用は数十万円動きます。
  4. デザイン費と印刷費を分離した見積を、同一条件で3社から取る
  5. 修正回数と納品データの範囲を契約前に確認する

会社案内は、一度作れば3〜5年使うツールです。年間500社に配るなら、150万円かけても1社あたり300円。その視点で見れば、「安く作る」よりも「何を伝えるか」に時間を使ったほうが、投資として合理的です。予算に合わせた構成の組み方についても、お気軽にご相談ください。

企業ツール一式を並べたブランドの世界観

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