※この記事はhttps://www.lucidpress.com/blog/how-to-pick-great-brand-nameを引用・翻訳したものです。
どんな大きなブランディング企業でさえも、全企業に適用可能なブランド名を付ける方法があると信じてしまう罠に陥ります。
とくに巨大なネーミングエージェンシーは、Uberのような一言で興味をそそる名前に引き寄せられる傾向があります。なぜなら、このような名前は風変わりで現代的であり注目を集めやすいと考えるからです。
一方で、多くのブランディングの専門家はむしろ最良のブランド名はその会社が何をしているのかを説明するものであると言います。ブランド名でその企業が何をしているのか分かれば、無駄な説明時間やリソースを使わずに済み、マーケティング全体のお金を節約することにつながると考えるからです。
多くの人々は、両者が主張するような興味をそそる名前や分かりやすいブランド名に惹かれるでしょう。これらのアプローチは決してどちらかが間違っているわけではありません…しかし、この二つがブランドの命名を行う唯一の方法ではないことは明らかです。なぜなら誰もが”何か違うもの”を必要としているからです。
何百万ものブランド名を分析し、何千ものプロジェクトに取り組んだ後、ブランドの命名にはより相対的なアプローチが必要であると明らかになりました。多くの企業は独自の業種、計画、ニーズを持っているため、それら全てに対応できるたった一つのブランド命名法など存在しないのです。
あなたのブランドにぴったりの名前を見つけるためには、その会社独自のニーズとポジショニングを考慮することが欠かせません。
ここでいうブランドに合う名前というのは決して一つの国際的な基準に合うということではありません。それはまるでアスリートがマラソンでも短距離走でも勝てるようにするようなものです。ビジネスに必要なブランド名を決めるときは、ブランドの次の2つの側面を考慮しましょう。
Contents
ブランドとネーミングの側面①ストーリーテリング
基本的に、ここでいうストーリーというのはつながりを意識的に作り出すことです。ストーリーは誰もが関係する普遍性を提供し、個々人の間で共通の経験を確立することに役立ちます。ビジネスでは、特にブランディングに関して、ストーリーテリングは強力なツールであるとされています。しかし、ブランド名を使ってストーリーを語ることもできると言ったらどうでしょうか。
一見すると、ブランド名にストーリーを適用することは不可能に思えるかもしれません。なぜならほとんどのブランド名は1つか2つの単語からなっているからです。では、その短いブランド名の中にどのようにストーリーを組み込めばいいのでしょうか?
ストーリー主体のブランド名というのは、NikeやAmazonのような比喩や参照の使用が特徴として挙げられるでしょう。本来の意味ではNikeはギリシャの勝利の女神であり、Amazonは地球上で最大の森を指します。実はこれらの比喩的な名前の裏には、人々の興味を惹く物語が隠されているのです。
例えばNikeには、アスレチックウェアブランドとして、私たちを達成と勝利への旅に導くというメッセージが入っています。
一方Amazonの比喩は、世界最大の熱帯雨林での発見と数えられないほどの多様性と発見を連想させるでしょう。
ストーリー主導のブランド名は人々を惹き込み、ブランドと確立された物語の間の関係性を設定するという効果も持っています。すべての物語は、つながりと価値観の基盤を与えてくれるのです。
ブランドとネーミングの側面②第一印象
あなたが自身のブランドについて考えるとき、一番に考えるべきなのは顧客との接点についてです。 どんな第一印象を作りたいのでしょうか? そのブランドは楽しい、のんきなイメージですか?それとも堅実で信頼できるイメージですか?具体的に形にしていく前に参考にしてほしい5つの分類を用意しました。
これは20,000以上のネーミングプロジェクトと数十万の会社名のアイデアを分析したうえで、分類されています。
クラシック系ブランド名
古典的な名前は、ビジネスをハイエンドまたは卓越したものとして顧客に認識されやすいです。例えばヴァンガードは、パワフルで古典的な名前で大成功を収めている会社です。 名前自体は、英国軍で有名なネルソンの旗艦Vanguardに由来しています。この名前は顧客に対し、ブランドを安全で信頼性が高く、強化されたものというイメージを与えます。
他にも例を挙げるのであれば…
・Berkshire Hathaway(現在は事業投資会社であるが、もとは綿紡績事業を請け負っていバークシャー社とハサウェイ社が合併しており、ウォーレンバフェットも当初は綿織物紡績業を維持していました)
・Blackstone(アメリカ三大投資ファンドの一つ。1985年、リーマン・ブラザーズ・クーン・ローブ(当時)に勤めていたスティーブ・シュワルツマンと、彼の上司だったリーマン会長兼CEOのピーター・ピーターソンにより設立された。社名はドイツ語で黒(ブラック)を意味する「シュワルツ」と、ギリシャ語で石(ストーン)を意味する「ピーター」に由来する。)
古典的な名前は、企業が業界にフィットするのに役立つ場合もあれば、安定性と信頼という価値を示すのに役立つ場合もあります。 法律関連、不動産、出版、その他の歴史を重んじる確立された業界とこの系統のブランド名は相性が良いです。
モダン系ブランド名
現代的なブランド名は、ビジネスが最先端で革新的で新鮮なものとして認識されるのに役立ちます。
アップルは、現代的で興味をそそる名前の象徴的な例です。 この企業は、市場に出回っているHPやIBMとは一線を画していて、大胆で新鮮なブランド名を採用しています。 彼らは、誰もがつながりのある果物にちなんで自分たちの名前を付けることで、一般の人々のための日常用品のコンピューターとしての地位を確立しました。
モダン系ブランド名では、抽象的であったり視覚的なものを用いることもできます。 現在このタイプのブランド名で成功している企業は次のとおりです。
・Hulu
・Amazon
・Nike
・Firefox
Nikeが勝利の女神にちなんで名付けられたように、現代のブランド名は会社が持つ価値観に結びつく可能性があります。 また、Amazonが熱帯雨林と紐づけたように比喩を用いることもできます。現代的で興味をそそる名前はさまざまな方向性を示しており、典型的なくくりに入れられたくない企業に最適です。
感情系ブランド名
人々の感情に訴えかけるには、次のようなブランド名を使用します。
例えばTriumph Motocyclesは、達成感と勝利感を刺激し、顧客と潜在的なバイヤーから前向きな感情を引き出します。 感情に訴えることは、顧客とつながるための強力な方法です。
これらの企業は、感情的な名前でも成功を収めています。
・Greenpeace (国際環境NGO)
・Salesforce(営業支援ツールの販売)
・国境なき医師団
感情系ブランド名は、チャリティ事業と相性が良いですが、大概のビジネスにも使うことができます。とくに、実際の使用感や機能よりも製品やサービスの結果に視点をあててている企業に合っています。
語感系ブランド名
このようなブランド名は、遊び心があり、楽しく、親しみやすいものです。具体的にはしゃれや韻、またはくすっと笑ってしまうような画像を使用して顧客から反応を得ることで印象付けます。
Squatty Pottyは似たようなな韻を踏む名前で、会社が話しにくいトイレ用品というテーマのハードルを下げて話しやすくするのに役立ちました。
同じような系統のブランド名は次のとおりです。
・Inner Peas(Trader Joe’sで販売するエンドウ豆の形をしたスナック。エンドウ豆の皮ではなく、もちろん中身の豆を使用したということをわざわざ誇張している。)
・Piggly Wiggly(アメリカで展開する豚のキャラクターが印象的なスーパーチェーン)
・セブン-イレブン(もとは7-23時まで開店していたことに由来するコンビニエンスストア)
このようなブランド名はカジュアルフードビジネスや子供向け製品に多く見られます。遊び心を印象づけたいからです。
実用系ブランド名
実用的な名前、または説明的な名前は会社が何をしているのかを簡潔に示します。
PayPalは実用的な名前の良い例です。 PayPalは、信頼できるユーザーフレンドリーな支払いシステムとしての地位を確立したいと考えていました。 ブランド名は直訳すると”支払い仲間”ということになり、サービス内容を簡潔に示していると言えるでしょう。
成功している他のいくつかの実用的な名前は次のとおりです。
・Dollar Shave Club(サブスクリプションでのひげ剃りの替え刃の定期購入サービス)
・LitMag(literature magazineの略称であり、つまりは文芸雑誌という意味)
・Shake Weight(エクササイズ用ダンベルの販売会社であり、商品である特別なダンベルを振ることで、効果が得られる)
実用的な名前は、商品やサービスを強調したい企業に最適です。この系統のブランド名は、理解されずらい全く新しいことをしている企業に特に適しています。そのため、ブランド名は商品やサービスの簡単な説明になります。わかりやすい名前を思いつくためには、ブランドの焦点を絞るのに役立つ、明確な企業のバリューを参考にしましょう。
まとめ
ブランドに正しい名前を付けることは、自分の子供に名前を付けることによく似ています。それはユニークでなければなりませんが、同時に家族の外の人々にとってシンプルで記憶に残るものでなければなりません。
良いブランド名はきっとあなたの会社を競合他社との一線を画すのに大きく貢献するでしょう。