WEリーグに所属し、日本の女子サッカーを牽引する、アイナックフットボールクラブ株式会社(INAC神戸レオネッサ)。今回レイロでは、初めてスタジアムを訪れる方に観戦の楽しみ方を届けるため、特設サイト「はじめてのアイナック」の制作を担当しました。
- Background背景
・招待チケットで一度足を運んでくださった方に、次の来場までの道すじをつくりたい
・初めての観戦でも楽しみ方がわかる、来場前に手元で読めるコンテンツを整えたい
- Approach実施内容
・来場者データと現地での観戦をもとに、注力するターゲットを認知・関心層と潜在層に定義
・コンセプト設計から特設サイト「はじめてのアイナック」の制作までを担当
・WordPressをCMSとして導入し、公開後もクラブ様の手元で更新できる環境に設計
Flow解決の流れ
Research
戦略会議から始まったリサーチ。クラブ様とともに、向き合うお客様を定める
神戸市様よりご紹介いただいたご縁から、2025年12月、ファン獲得・ブランディング戦略会議を実施。まずは、クラブ様が向き合われている状況をヒアリングするところから始まりました。「招待チケットで一度足を運んでくださった方に、もう一度スタジアムへ来ていただきたい」。その想いを受け、数回にわたってうかがい、討議とヒアリングを重ねました。
クラブ様からご提供いただいた来場者データをもとに、属性などを整理。ご来場いただいているお客様の年齢層や性別の構成、居住エリアの傾向をつかみ、あわせてWEリーグ全体の観客動員の推移をリサーチしました。
また、私たちも実際にスタジアムへ足を運び、試合を観戦させていただきました。参加したメンバーの多くはサッカー観戦が初めてで、今回のペルソナと重なる立場のメンバーもいました。
試合のどこに注目すれば楽しめるのか。詳しい方がそばにいるかどうかで、見どころのつかみやすさはどう変わるのか。初めて訪れる方と同じ目線で当日を体感し、リサーチをさらに深めました。
討議と観戦で集まった材料をもとに、お客様の状態を6つの層に分ける顧客ピラミッドで整理しました。層ごとに必要な施策は変わるため、どこへ向けるのかをクラブ様とそろえる共通言語として使っています。
6つの層のうち、今回のプロジェクトで向き合うのは認知・関心層と潜在層。誘われて観戦した経験がある方と、INAC神戸をご存じで、観戦はこれからという方です。どちらも、ご自身の意思での来場が次の一歩になります。

Experience
体験の起点は、招待チケットを受け取った瞬間から
招待チケットは、多くの方にとってINAC神戸との最初の接点です。その瞬間を顧客体験の入口として、サイトの物語もそこから始まるように設計しました。
初めての観戦をより楽しんでいただくために、向き合うポイントを3つに置いています。試合の見どころがわかること、誰に注目すればいいかがわかること、応援したい選手と出会えること。想定するお客様も、子ども連れの地元ファミリー、推し活を楽しむ若年女性、女子サッカーの見どころにこれから触れていきたいJリーグファンの親子と、3つのペルソナに分けています。
来場前に読んで当日の楽しみ方をつかんでいただき、来場後にもう一度ひらいて次の試合へ向かっていただく。2つのタイミングで機能することが、このサイトの役割です。

Concept
初めてでも、ちゃんと楽しめる。来る前に読む、INAC神戸のトリセツ
コンセプトは「初めてでも、ちゃんと楽しめる。来る前に読む、INAC神戸のトリセツ。」に結びました。来場前の手元で読み終えられる分量で、その日の楽しみ方が伝わること。招待チケットを受け取った方の背中をそっと押す存在として、サイトの立ち位置を定めています。
サイトの名称は「はじめてのアイナック」。初めての方に向けたものであることが名前で伝わるように、言葉にしています。
楽しみ方は3つに整理しました。「推しから入っても、ちゃんと楽しめる」「WEリーグならではの、技術の美しさ」「ピッチが近くて、熱が伝わる」。どれか1つでも入口になれば、そこから観戦の楽しさは広がっていきます。
「トリセツ」をどんな声で届けるか。全体のトーンも、コンセプトの一部として定めました。クラブ様が積み重ねてこられたブランドの空気を尊重しながら、初観戦の方に向けた親しみやすさとやわらかさを重ねています。
アイドルやライブの文化に親しむ若年女性の感性へ寄せながら、クラブ様が大切にされてきた品位もそのままに。初めての方にひらかれていて、なおかつクラブらしくある。両方を満たすトーンを、デザインに入る前の段階で言葉にしました。

Design
親しみやすさを入口に。1枚のチケットから始まるサイト設計
デザインでは、コンセプト「INAC神戸のトリセツ」を体現するため、サッカー観戦が初めての方の目線から組み立てました。初めての方が構えずにひらけるよう、クラブ様のロゴに用いられている赤と黄を活かしつつ、丸みのあるデザインや柔らかなトーンを取り入れ、親しみやすい印象に仕上げています。イラストは神戸在住のイラストレーター様にご協力いただき、全体のディレクションはレイロで担当させていただきました。
推し活を楽しむ方に届けるため、見せ方そのものにモチーフを取り入れています。試合当日の流れを紹介する「MATCHDAY TIMELINE」は、日ごろ見慣れたSNSのタイムラインがモチーフ。持ち物の確認からスタジアム到着後の動きまでを追えるようにしています。
応援したい選手と出会っていただく入口になるよう、選手紹介では試合中のONとプライベートのOFF、2つの表情を見られるようにしました。トグルで切り替えると背景色がONは赤、OFFは青に変わり、質問項目も入れ替わります。カードのかたちは、アイドルやスポーツ選手のトレーディングカードがモチーフです。
サイト全体を貫くモチーフは、チケット。初めての方にも「ようこそ」という歓迎の気持ちが伝わるよう、観戦への招待状に見立てています。ページはチケットを受け取るところから始まり、読み進めた先でちぎれる。1枚のチケットが体験の入口から出口までを結ぶ構造にしました。初めての方にわかりやすく伝えることを軸に、載せる情報も絞り込んでいます。

Implement
ちぎれるチケットと、運用しつづけられる管理画面
実装では、「トリセツ」を体験まで届けるために、アニメーションのやわらかさを軸に置きました。要素は拡大しながら消え、下からふわりと浮かび上がるように現れるフェードインで全体を統一。アイコンにも、角度をつけた小さな揺れを加えました。情報を読む邪魔にならない程度にさりげなく動かすことで自然と視線を引きつけながら、サイトの親しみやすさやかわいらしさを、動きの面からも表現しています。
チケットがちぎれるインタラクションでは、実際に紙をちぎるときの手ざわりに近い挙動を再現しました。モーションをちぎれる瞬間だけに絞ることで、視線が自然と集まる構成にしています。
また、公開後の運用がクラブ様の手元で完結することも、設計の軸に置きました。WordPressをCMSとして導入し、選手の名前・背番号・写真を管理画面から登録するだけで、選手カードのデザインが自動で生成される仕様にしています。アップロードされる写真は縦横比が一定とは限らないため、管理画面上で表示位置を調整でき、仕上がりを見ながら操作できます。デザインの見え方を保ったまま、更新はクラブ様だけで進められる状態です。
試合情報を知らせる追尾バナーも、文言・リンク・終了日時を管理画面から設定できるように。終了日時を過ぎると自動で表示が切り替わり、次の試合の情報がお客様の目に入ります。シーズンとともに動きつづけるサイトとして、公開後の運用まで含めて設計しました。

Gallery
Team
- Creative Director
- Ryosuke Hatta
- Art Director / Designer
- Airi Seino
- Developer
- Hayato Yoneda
- Illustrator
- Chiko
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Ryosuke Hatta
-
Airi Seino
-
Hayato Yoneda