










明治21年(1888年)に設立、100年以上の歴史を持ち、清酒をはじめ、ウイスキーやワインの総合酒類メーカーで知られる江井ヶ嶋酒造株式会社。今回、reiroでは新たなウイスキーブランド「香掬(カスク)」の製品ブランディングを担当しました。
- Background背景
・既存の主力商品であるウイスキーの一つが、ジャンルの異なる別の商品に見られてしまうため、リニューアルを検討したい
・40種類以上のカスクを駆使し、伝統的なものからユニークなものまで、手作りにこだわったウイスキー造りに尽力していることなど、自社にしかない魅力をさらに発信していきたい
- Approach実施内容
・代表をはじめとする社内メンバーに対しヒアリングを実施。課題などを踏まえ、ウイスキー新ブランド「香掬」を提案。
・ウイスキー原酒の熟成における最小単位であるカスク(樽)に着目。それぞれの香りや味わいなど、「樽の個性」を堪能できる商品を実現。発売に合わせてブランドサイトも新設、公開
Flow解決の流れ
Research
9時間のヒアリング。社内の声をもとに、リニューアルから新ブランド創出へ
既存商品のウイスキーのリニューアルを検討しているとのご相談を受け、代表を含む社内メンバー9名に対し、計9時間にわたってヒアリングを実施しました。その過程で最も多く挙がってきたのが「既存商品が別のジャンルのパッケージに見える」「商材が売りづらい」などの声であったことから、単なるパッケージのリニューアルではなく、新たな商材をつくる方向性で進めることに。
続けて、ウイスキーイベントにも実際に足を運び、ユーザーヒアリングを実施。現状のリサーチをさらに深めた結果、ウイスキーの新ブランドの立ち上げを提案させていただきました。
Concept
2000樽が物語る「樽ごとの個性」への着目
1919年にウイスキー製造免許を取得し、1961年から本格的な製造を開始した江井ヶ嶋酒造様。私たちも実際に見学させていただき、古き良き木造ウエアハウス8棟で約2000もの樽を保有しているという圧倒的な数と、単一の樽から瓶詰めをした、混ざりけが一切ない「樽ごとの個性」を活かしたウイスキー造りを今日まで続けてこられた歴史、職人魂を体感しました。
熟成年数など“樽の違い”によって、同じ種類のカスクでも香りから異なる体験がたのしめる——。こうして生まれたのが、樽の香りを掬い上げる新ブランド『香掬(カスク)』です。
Identity
歴史を紡ぎ、ものづくりへ真摯に向き合う「クラフトマンシップ」
1961年、ウイスキーの本格的な製造を開始して以来、ものづくりに真摯に向き合われている江井ヶ嶋酒造様のあり方。そして、代表をはじめとするメンバーのみなさんへヒアリングする中でも出てきた、「歴史と職人の技が織りなすクラフトマンシップを大切にしていきたい」という言葉。香掬を通じて、この「クラフトマンシップ」を表現することにも重きを置きました。
ファーストビューでは、手作り感が伝わる木を使用した背景と「香掬」のビジュアルとともに、コピー「カスクの香り、掬い上げる。」を伝え、世界観を強く印象づけるようにしています。
そして、この世界観を創るために、カメラマンさんにご協力いただき撮影した素材を活かし、スクロールするにつれて、樽に始まり、カスクが生まれるまでの流れも体感していただけるように。画像を多く使用することでも没入感を促進させ、ウイスキーへこだわりがある方へ、香掬の空気感や世界観を視覚的に伝えています。
まずは画像で魅せてからコンセプトにたどり着いてもらうことで、ユーザーの没入感を高めるように設計しました。
Design
ユーザーの没入感と探求心に響くアプローチ
デザインを通しても、この「クラフトマンシップ」を体現しています。香掬のパッケージには特殊な加工を施し、革のような手触り感のあるものに仕上げることで、伝統の技や手作りへのこだわりを表現しました。
ユーザーを香掬の世界に引き込んでいくように、ブランドサイトではスクロールして下に進むにつれて背景のカラーを深めに設定。まるでウイスキーの中に沈んでいくような体験を、淡色から濃色へ、カラーグラデーションを通じて創り上げています。
コンテンツには「カスクの種類」を設け、カスクの多様な個性をより深く理解できるように、図鑑のように説明を並べました。一つずつに、各樽の特徴や熟年数を記載し、味わいはチャートでも示しています。
ラベルにおいては、熟成年数と使用したカスクはロゴの次に大きく表示し、保有する喜びも演出。下部の情報欄には目安の生産ロットを記載することで、限定感を強めています。香掬のすべてから、樽ごとの個性をより深く味わうこの体験が、ウイスキーを愛する人の心をも刺激します。
Work list
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Flyer
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Tapestry
Team
- Creative Director / Art Director / Designer
- Ryosuke Hatta
- Designer
- Airi Seino
- Developer
- Hayato Yoneda
- Photographer
- Shigeki Tsuji
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Ryosuke Hatta
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Airi Seino
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Hayato Yoneda