













1711年の創醸、日本初のカップ酒「ワンカップ大関」でも知られる兵庫県・西宮市の酒造メーカー・大関株式会社。ユーザーニーズにより応え、社内でも運用がしやすいウェブサイトを構築するために、サイト改修とCMS化を担当しました。
- Background背景
・サイト内での情報アクセスや操作性の面で改善の余地があり、大関らしさを浸透させたよりユーザーフレンドリーなサイトが必要だった
・CMS(コンテンツ管理システム)を導入していないため、情報の更新などにあたって専門知識が必要になり、社内での運用が難しい状態だった
- Approach実施内容
・ウェブサイト改修が完了し、デザインやコラムなどにを通じても大関様の歴史と挑戦を伝えるかたちに
・CMSを導入し、多岐にわたる情報を入力、更新しやすい環境に設計
Flow解決の流れ
Research
部門横断ワークショップ。「挑戦」「歴史」を軸に企業アイデンティティを再定義
企業としての強み、既存価値を明確にするために、年齢や部署などが異なるさまざまなセクションの社内メンバーに参加していただき、「大関とは」という共通のテーマのもとでディスカッション。企業の一員としてメンバーが参加意識を持って、自分たちで創り上げていただけるようなワークショップを企画しました。
それぞれに異なる色の付箋に、テーマに対して思いつくかぎりの単語や文章を自由に記入していただき、企業の強みや価値をあらためて可視化。全体から集めた付箋で、同じ概念のものは一つにまとめるなどグルーピングする過程では、1964年に日本初のカップ酒を発売した大関ならではの「ワンカップ」などの単語も多く見られました。そのなかで、最終的に最も多く共通していたものが「挑戦」「歴史」という言葉でした。
Concept
伝統×革新の大関らしさを『醸×魁(サケカケルサキガケル)』で表現
日本酒は熱燗として温めて飲むのが当たり前であった時代に、1932年“冷やして飲む”という新たな商品「コールド大関」を。そして、一升瓶からお銚子に注いで飲むのが主流であった清酒業界で、1964年に日本初のワンカップ酒「ワンカップ大関」を発売するなど、これまでにも数々の挑戦をしてきた大関様。
ワークショップを通じてもでてきた「挑戦の歴史」と、もともと大関様がお持ちであったモットー「楽しい暮らしの大関」。伝統と革新が融合する、その大関様“らしさ”を表すものとして、醸造の「醸」に、先駆けて挑戦を続けている「魁る」を合わせて、ブランドコンセプト『醸×魁(サケカケルサキガケル)』をご提案させていただきました。
Design
漢字の切り替えと絵巻で『醸×魁』を“直感的”にも伝わるように
ブランドコンセプト『醸×魁』が書かれたトップ画面は2分割に。歴史と風土を継ぐ、技術や知恵を日々究める、暮らしを彩る提案を……。そんな大関様のあり方を「醸」をはじめ、「継」「究」「彩」「拓」「縁」という漢字に当てはめて表現し、向かって左側の「醸」の漢字が時間とともに切り替わる仕組みにしました。
一つひとつの漢字には、「筆文字の溜まりやかすり」と「グラフィカルな現代の表現」をバランス良く織り交ぜて挑戦の歴史を表わしています。
コンテンツには「醸×魁とは?」というコラムを設け、大関様のこれまでの挑戦の歴史を、文章と写真を組み込みながら絵巻のようにデザイン。縦スクロールすると絵巻が横にスライドし、魁て歴史を積み上げてきたことが直感的にも伝わる仕様にしました。
また、ホームページを構成するメインのお写真をはじめとする材料は、すべてreiroで担当させていただきました。今津郷と呼ばれ、灘五郷の中で最も東側に位置する酒蔵として歴史を築いてきた大関様。江戸の酒荷を運ぶ樽廻船でにぎわう今津港に先代が健立した灯台は、現役の木造灯台(今津灯台)としては日本最古であり、西宮市指定重要有形文化財にも指定されています。撮影では、そんな大関様の歴史を表すモチーフの一つとして「灯台」も取り入れました。
Implement
ヒアリングから生まれた、多様な情報を整理する管理システム
当初の課題感として挙げられていた「多種多様な品目があり情報が多いなか、CMS化されていないこともあり社内で入力するのが難しい」状態を改善すべく、多岐にわたる情報を入力、更新しやすい環境に設計することに重点を置いて開発を進めました。
実際に利用するユーザー様へ綿密にヒアリングを行う過程で、品目数だけではなく、それぞれの日本酒ごとに記載すべき基本情報や味わいの表現、飲み方など、あらためて豊富な情報を整理。ユーザー様とコミュニケーションを取りながら、使いやすさとデザインの美しさを兼ね備えた、最適なかたちを検討していきました。
Team
- Creative Director
- Ryosuke Hatta
- Art Director / Designer
- Yuka Nakai
- Developer
- Ken Uchida
- Photographer
- Shigeki Tsuji
-
Ryosuke Hatta
-
Yuka Nakai